●MAMA conquers ALL
母をたずねて三千里



●主な制作スタッフ●

放送期間/1976年1月4日〜12月26日(全52話)
製作/本橋浩一
原作/「クオレ」(エドモンド・デ・アミーチス)
監督&演出/高畑勲
脚本/深沢一夫
音楽/坂田晃一
キャラクターデザイン&作画監督/小田部羊一
場面設定・レイアウト/宮崎駿
美術監督/椋尾篁
制作/日本アニメーション・フジテレビ

オープニング「草原のマルコ」
(歌・大杉久美子/作詞・深沢一夫/作編曲・坂田晃一)
エンディング「かあさん おはよう」
(歌・大杉久美子/作詞・高畑勲/作曲・坂田晃一/編曲・小六禮次郎)


●主な声の出演●

マルコ・ロッシ/松尾佳子
アンナ・ロッシ/二階堂有希子
ピエトロ・ロッシ/川久保潔
トニオ・ロッシ/曽我部和行

ペッピーノ/永井一郎
コンチエッタ/小原乃梨子
フィオリーナ/信沢三恵子
ジュリエッタ/千々松幸子

エミリオ/駒村クリ子
カタリナ/麻生美代子

レオナルド/神山卓三
フェデリコ/峰恵研

パブロ/東美江
フアナ/横沢啓子
マヌエル/古谷徹
ラモン・メキーネス/木下秀雄


●紹介●

「ハイジ」で名作劇場シリーズを軌道に乗せた高畑勲の名作シリーズ第2作目がこの「母をたずねて三千里」です。

この作品の特徴はとにかく精緻であること。

「ハイジ」があれほど日常的でありながら退屈させないのは、ハイジという破格なキャラと、宮崎駿によるアニメ的な記号に満ちた画面レイアウトのおかげでした。しかし、この「マルコ」ではスーパーな人間は全く登場せず、とことんリアルな描写が貫かれています。屋根の上まで飛び上がって喜ぶヤギや、立つのもやっとの急斜面の山はなくなり、年季の入った汚れた壁塗りの町並み、日々の仕事に従事する下駄履きの生活者たちが画面を支配します。ファンタジーからリアリズムへ。その表現・描写の徹底度は素晴らしく、「ハイジ」「マルコ」「アン」という高畑勲の名作3部作では、最もソリッドな出来です。後の”実写映画みたいな”高畑アニメの方向性を大いに感じさせる作品ですね。

まあ、パラメータ的は評価はそんな感じですが、それはそれとして、この物語で一番楽しいのは、マルコとフィオリーナのコンプレックスコンビ。マザコンでヒステリーでインケツのマルコと、マルコにアイデンティティをもらった自信喪失少女のフィオリーナのすれ違いカップルを見ていることが無上の喜び。

フィオリーナの出てくる回以外は、手抜きレビューになることでしょう。辛気臭いもん、マルコ。