第43話 クララの願い
脚本・佐々木守
絵コンテ・奥田誠治
クララにとって、アルムでの最初の朝です。
今日はアルムの山に登る日。クララははやる気持ちを押さえきれないで、朝早く目が覚めてしまいました。クララはとても気分がよくて、ベッドから一人で降りて車いすに乗り込めそうな気分でしたっ・・・できはしませんでしたが。とにかく、クララは楽しそうです。そんなクララのために、ロッテンマイヤーさんは村の人たちを雇っておこしを用意していました。おんじはけげんな顔ですが、ロッテンマイヤーさんはアルムでもあくまでマイペースです。
そして、山小屋へと出発する一行。クララはハイジがフランクフルトで話をしていたものにようやく出会うことができました。おじいさんの山小屋にモミの木、ヨーゼフにピッチー達。ヤギのユキちゃん。そして、雄大なアルムの山。クララにとっては全てが目新しく、心躍るものでした。
「とうとう来たのね、山へ・・・まるで夢のよう!」
その日中、クララはおんじの山小屋で暮らしました。あれだけ食が進まなかったクララがチーズをモリモリ。山の空気に触れ、生き生きと目を輝かせるクララ。クララはもう下へ降りずに、このままハイジと山小屋で過ごそうと決心するのでした。
そんなクララに、ロッテンマイヤーさんは「こんなところは人間の住むところではありません!」と大反対。しかし、おんじはクララが山小屋で暮らすことに賛成し、ロッテンマイヤーさんをたしなめます。クララを特別扱いせず、山の子達と同じ生活をさせることがクララの健康のためになると。
「クララのため」と言われると強くは出られないロッテンマイヤーさん・・・しかし、クララの面倒をみることはロッテンマイヤーさんのレゾンデートル。そこで、ロッテンマイヤーさんは一人で山を下り、クララのために毎日山小屋に通ってくることにするのでした。
そうして、クララは山小屋で暮らすことになりました。その夜、干し草のベッドで手を繋いで寝るハイジとクララ。二人の胸はこれからの生活を思っていっぱいに膨らんでいました。
クララは結構タフだと思うのです。
環境が変わっても具合が悪くならないし、初めての生き物にも物怖じしないし。ボクだったらこうはイカン(ぜんそく持ちなので、こんな寒くて空気の薄いところはもうダメ〜)。後への伏線にもなるところですが、要するにクララはマイペースなんですな。甘えん坊のクララの命令口調、そしてロッテンマイヤーさんの都会生活を丸々保存しようという態度が、アルムの風景で異質なムードを漂わせています。ホントは山の生活ってのは貧しくて厳しいものだと思うし、そこに暖かい時だけやってきて「素晴らしいところだわ、こういうところに本当の人間らしい生活があるのね」と金持ちの連中がロココ趣味で来るってのは鬱陶しいかも。まあ、都会であろうと山であろうと北極であろうと、ハイジがいる場所ならどこでも天国ってのは間違いないですが。
「じゃ、おんじ、またな」
「あ〜、ごくろうさん」
という、おんじと村人の会話が嬉しい私です。すっかり真人間に!こんなおんじだからこそ、ロッテンマイヤーさんに何かが言えるという感じです。これが序盤のおんじだったら、ロッテンマイヤーさんとは単に言い合いになっていたでしょうねぇ。
第44話 小さな計画
脚本・佐々木守
絵コンテ・富野喜幸
山の湧き水で手を洗い、絞りたてのミルクを飲む朝食。
こないだまだフランクフルトで一歩も外に出ずに暮らしていたクララが、今やアルムの山の上で暮らしているのです。クララは今日も大はりきり。
一方、ロッテンマイヤーさんは一向に山の生活に馴染めません。クララのために山へ歩いて登ろうにも、斜面は急だしケダモノはいるしで、辛いことだらけ。ただ一つ「クララお嬢様」への責任感が、ロッテンマイヤーさんを前に進ませるのです。しかし、山の上ではおんじが親分。おんじはロッテンマイヤーさん言うことをことごとく却下し、自分のスタイルを押し進めるのでした。クララにとっても飽き飽きした勉強よりもチーズ作りを見る方がよっぽど面白い様子。どうにも、形勢の悪いロッテンマイヤーさん。やることはもう、フテ寝ぐらいしかありませんでした。
芝生に直に座って花を摘むクララ。自分で這って花を探せるようになったのです。多くの人がサポートしてくれる都会での生活と違って、助けの少ない山での生活を送るのは大変です。しかしそれでも、山での生活はクララにとっては楽しく、ちっとも苦にはなりません。そして自分で摘んだ一輪の花をもって、クララは「自分の力で歩いて花を摘めるようになれたら・・・」と思うのでした。そんなクララを見て、ハイジは山の上のお花畑にクララを連れて行ってあげたい、と思いました。でも、一体どうやって?
そこでペーターが名乗りを上げます。「ボクが担いで連れて行ってあげるよ!」しかし、ハイジにはペーターにそんな力があるように到底思えませんでした。ハイジの過小評価に、ペーターはハイジを負ぶって走り回りデモンストレーション。
優しいペーターの心意気にハイジは決心します。ペーターにおぶってもらって、クララを山のお花畑まで連れて行ってあげよう!しかも内緒で。ハイジはクララを驚かせる小さな計画に胸が一杯になっていました。
おんじvsロッテンマイヤーさんはおんじの全勝!
何度も言ってますが、山でのロッテンマイヤーさんはフランクフルトとは印象が全く違います。 山の上ではお屋敷でふるっていた権力もなくなり、自らの知識やポリシーも全く無用の長物と化します。そうなると、ロッテンマイヤーさんの意地悪なキャラ印象を構成していた要素が全て無効になり、後に残るのは「クララ思いのおばさん」という好印象のみ。アルムでのロッテンマイヤーさんは、むしろ良い人。これが最終回でのロッテンマイヤーさんに繋がっていきます。原作ではロッテンマイヤーさんはアルムについてこないでイヤな人のまま。しかし、アニメではちゃんと名誉挽回のチャンスが。これはなかなか巧妙だなーと思いました。
ペーターがハイジをおぶるシーンが可愛くて好きですなぁ。ペーターにはピッチーの巣を探したりするより、こういう力強い部分でハイジを喜ばしてくれた方がいいです。何しろ、将来はおんじの後釜ですから。
第45話 山の子たち
脚本・佐々木守
絵コンテ・奥田誠治
「さ!クララ!このズボンを履いて!」
クララは朝起きるなり、ハイジにペーターのズボンを履くことを強要されます。ハイジは何やら嬉しそうですが、どうして朝っぱらからこんな辱めを受けるのかさっぱりわからないクララはその申し出を固辞。なぜこんなペーターの小汚いズボンをお嬢様の私が履かなくてはいけないの?
どうしても言うとおりにしてくれないクララに、結局ハイジはズボンを履く訳を話してしまいます。ペーターがクララをおんぶして山の上のお花畑に連れて行く計画です。クララはその話を聞いて、一転大喜び。いそいそとズボンに履き替えるのでした。おんじも3人だけでお花畑に行くことを許してくれ、更に、頑張るペーターのために干し肉をお弁当にサービスしてくれるのでした。
幸い、最大の難関ロッテンマイヤーさんも今日は遅れてきます。3人は山の上のお花畑へと出発。ハイジとペーター、そしてペーターの背中のクララは、意気揚々と山へと登っていきます。しかし、やっぱりペーターは辛そう。ハイジへのデモンストレーションの時とは訳が違うようです。クララは少女とは言え、おんぶで山を登るには発育し過ぎの模様。重い・・・。
それでも、ペーターは頑張りぬいて山の上のお花畑に着きました。花が一面咲いているその場所で、3人は大いに楽しみます。クララは目の前一杯に花が広がるその素晴らしい情景に感激します。そして、駆け回るハイジ達をみて「お花畑の中を立って歩きたい!この中をハイジのようにはしゃぎ回ったりお散歩したらどんなに素敵かしら!」と心から思うのでした。 そして、それがおんじが今回の計画を許した理由でもあったのです。クララを子供だけのなかに置き、大人に頼らず何事も自分の力でやってみたい思うようになって欲しい。それがクララを立たせる原動力になるかも知れない・・・。
行きはよいよい帰りは怖い。
楽しく過ごした後、ペーターに地獄が待っていました。下りは上りよりもっと力いるのです。ペーターは疲れ切っていました。何度も崩れそうになるペーターに、クララもハイジもペーターを休ませておんじに助けを求めることを提案します。しかし、ペーターはおんじに怒られないかと心配で、何としても一人で山を下りようとするのでした。ハイジはたまらずおんじに助けを求めにいきます。しかし、その必要はありませんでした。ペーターは力を振り絞って最後までクララを負ぶって、遂に山小屋まで辿り着いたのです。
ヒーローのペーターと送って山を下りていくハイジ、そして一日中心配のなかで過ごしたロッテンマイヤーさんを見送るクララとおんじ。さっきまで喜んでいたクララは・・・泣いていました。一人で何もできない自分が、どれだけ多くの人達に迷惑をかけてきたのか、クララは今日初めて気づいたのです。そしてハイジにもペーターにも、おじいさんにも本当に済まないと思ったのです。
ヘコまされるクララ。
今回はとても重要な回。フランクフルトの頃からクララは甘えん坊でしたが、それはクララがそういう環境で育ってきたから致し方ないこと。その無邪気なお嬢様体質がアルムの山では更に強調されていました。そこにきてクララの無意識を顕在化させて打ちのめすこの一撃。佐々木守はこういうの得意そうな感じですな。しかし、それでもロッテンマイヤーさんには済まないというお言葉はないんですかねぇ・・・お気の毒。
それにしてもペーターはいい奴。原作ではハイジがクララしか考えないので、嫉妬でクララには辛くあたるのですが。一方、「ドイツのお嬢様が来てくれてから、ちっとも来てくれなくなったねぇ」とペーターのおばあさんは相変わらず・・・。
第46話 クララのしあわせ
脚本・佐々木守
絵コンテ・富野喜幸
次の朝、ペーターはなかなか山小屋にやってきませんでした。
クララはペーターが昨日のことで疲れてしまって寝坊したのかと心配。しかし、遅れてやってきたペーターは、クララに今日も山の上に行こうと言います。もちろん昨日のイベントで心配しどおしだったロッテンマイヤーさんは大反対。そして意外なことに、クララも山行きに参加しないでロッテンマイヤーさんと勉強することにします。驚くペーターとハイジ。クララは昨日のことが余程ショックだった様子です。
しかし、おんじはペーターが背負子を背負っていたことを見逃しませんでした。ペーターは山の子、一日寝たらもう元気回復していました。ペーターが遅れたのは、背負子を作っていたのです。おんぶでは辛いと知ったペーターは、クララを乗せて山に行くための秘密兵器を用意していたのでした。
昨日あれほど辛い目にあったはずのペーターの心遣いに、クララは感激します。あっさりとロッテンマイヤーさんへの前言を撤回、山の上に行くことにします。そして、3人は出発。背負子の効果は絶大で、前回よりもずっとスムーズに山の上へとあがれました。今日はお花畑の更に上、山の牧場へと向かう子供達です。
おんじに逆らえずにまたも自分の仕事がなくなったロッテンマイヤーさんは、しかたなく山小屋で洗濯・・・。しかし、そこに雨が降ってきます。お嬢様がずぶ濡れに・・・?ロッテンマイヤーさんは動揺します。そこで、おんじは様子を見に上に上がってみることにしました。勿論、ロッテンマイヤーさんも一緒です。ぶざまなズボン姿になる羽目になりましたが、大事なクララのためには致し方ありません。
しかし、山の上へと向かうおんじは「取り越し苦労だったかも知れない」と思い始めました。この程度なら大丈夫かも・・・。実際、山の上では子供たちだけでうまくやっていました。毛布で屋根を作って雨をしのぎ、その下でクララが得意のお話をハイジ達にしていました。ストーリーは「狼少年」。雨が降るなか、ペーターもハイジも、クララの話を聞いて楽しく過ごすのでした。
ロッテンマイヤーさんとおんじが山の牧場に辿り付いた頃には、既に雨はやんでいました。雨上がりの牧場で3人は楽しく遊んでいました。おんじの見込みどおり、子供達は子供達の知恵で雨を切り抜けたのです。そして、山には大きな虹がかかっていました。
「わたしは陽気な村のヤギ飼い〜今日も楽しくヤギと遊ぶ〜」
楽しい1日を過ごしたクララに、更にもう一つ良いことが待っていました。
山を下りたクララはそのままペーターの家まで行き、ペーターのおばあさんのためにお祈りの本を朗読したのです。「まるで天使の声のように聞こえましたよ、お嬢様」例によってペーターのおばあさんはクララを激賞。クララにとって、その言葉は本当に嬉しいものでした。自分でも誰かの役に立てる・・・クララは嬉しくて、涙を流してしまいます。今日はクララにとって素晴らしい日でした。いつも面倒をかけていたクララが人の為になる事ができるとわかったからです。
前回と対で今回はクララが救われる、しかもクララの下着姿も見られるという超注目回 ・・・ と言っても、期待するようなものは何もないですがね。
なんとなく、山のペースに馴染んできた様子のロッテンマイヤーさん。今日は洗濯してましたけど、こういう雑用やるんですね、この人。まもなくフランクフルトに帰るロッテンマイヤーさん、今回のズボン姿で失地回復はマックスに。とにかく、アルムではおんじにワンサイドの敗北。他人を抑え付けるタイプの人は、自分がかなわないと思った人には逆に抑え付けられたいと思うことがままありますが・・・「ハイジ」が子供向けじゃなかったら、ロッテンマイヤーさんはこの後おんじ崇拝まで行っていたかも。ま、そんなの見たくないですが。
第47話 こんにちわおばあさま
脚本・佐々木守
絵コンテ・山崎修二
山の上の生活を満喫するクララ。
そんなクララのもとにお客様がやってきました。おばあさまです。
大好きなおばあさまの来訪にハイジもクララも大喜び。一方、ロッテンマイヤーさんはいつもにもまして不機嫌です。ロッテンマイヤーさんはクララに山から下りてもらおうとゼーゼマンさんに直訴の手紙を出したのに、やってきたのは天敵だったのですから。
ロッテンマイヤーさんのそんな気持ちを逆なでするように、おばあさまはいつもの調子でクララに接します。おばあさまは大自然の下でクララが元気に暮らしていることを喜びます。クララはアルムに来てから薬を飲むのをサボってばかりなのに、こんなに健康なのです。おばあさまは素晴らしいアルムの環境に感嘆し、暖かくクララを見守ってくれているアルムの人々に感謝するのでした。
更におばあさまは、おんじとサシで話して驚くべき話を聞きました。おんじここでの生活は何でも子供だけでやらせるようにしていました。そして、それは「クララが歩けるようにするため」と言うのです。クララが歩く・・・?その考えは、長年の努力と試みそして失敗を経て、ゼーゼマン家では既に誰も口にしなくなった希望でした。おばあさまは夢を見ているようでした。しかし、おんじはそれは夢でも何でもないと言うのです。
「ワシは本気で言っているんです。勿論、立てるようになるまでには時間がかかるかもしれない、立てる事が信じられなくて途中でクララが挫けてしまうこともあるでしょう。でも、もしクララが大人を頼らず、子供同士で遊ぶ事の楽しさを知った時、『自分から立ちたい、どうしても歩きたい』と心から願うようになったら・・・そしてそれを助け励ましてくれる友達がいたら・・・!」
そうすれば、クララは立てるようになる・・・!おんじの確信に満ちた言葉を聞いたおばあさまは、おんじにクララを委せてみようと決心しました。
そして更に環境を整えるために、ロッテンマイヤーさんもフランクフルトに帰すことにします。お屋敷の世話に戻るように命じられたロッテンマイヤーさんは驚愕、そして泣き出してしまいます。「奥様は私をお嬢様から引き離しておしまいになりたいのですね・・・!」 しかし、おばあさまの言うことには逆らえません。ロッテンマイヤーさんは山を下りることにしました。ロッテンマイヤーさんは泣きながら、クララにハイジにおんじに言づてをして山を離れるのでした・・・。
これで邪魔をするものは誰もいなくなりました。
明日からはおばあさまとのハイジたちの、新しい山の生活が始まります。
おんじ自らの話によると、おんじはさりげなくクララの身体の使い方や腰の動かし方を探っているようだ。か、かなり観察しているんですね・・・。おばあさまの「おじいさま、お抱きになるのとてもお上手ね」というセリフもわざわざ入れる必要があるセリフなのか?な、何だか変な妄想が〜!
途中、おばあさんの人物紹介をするシーンで、ハイジによる回想シーン入りの説明が入ります。しかし、ハイジってこういう詩的なこと言うタイプに見えませんが。まあ、わかりやすい説明ではありますが。そして、おばあさんのことを思い出している間に、いつの間にか暗い思い出ばかりになって涙を流すハイジ。やっぱりフランクフルト編ってどえらいトラウマだったのですね。重い・・・。