5月の「育ち合う場づくりセミナー」にむけて、
                        4名のゲストに送っていたアンケートが戻ってきました。
                        これを読みながら、伊勢達郎とセミナー運営スタッフ:渡辺が
                        交わしている対話の一部を、お送りします。

育ちあう場づくりセミナーのゲストを語るそのC

  西村佳哲を語る 
 
 育ちあう場づくりセミナー第3回2007/5/2〜4(淡路島)へ
   ・イセタツロウにインタビュー@
      「場づくりセミナーってどんなセミナーですか?」

   ・育ちあう場づくりセミナーのゲストを語るその@
      「松木正を語る」

   ・育ちあう場づくりセミナーのゲストを語るそのA
      「佐藤道代を語る」

   ・育ちあう場づくりセミナーのゲストを語るそのB
      「山北紀彦を語る」

                       
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● 伊勢と渡辺の対話:
その4・西村 佳哲さんのアンケートを読みながら

──(渡辺)では、最後に西村佳哲さんのアンケートを読みながら。

伊勢達郎:はい、どう書いている?

――「伊勢さんインタビュー」を読んでの感想は?…「〈自分の存在を大事に扱わない人は、
絶対に人の存在も丁寧に扱わないから、おのずと操作的になる〉ってオレのことだ、
とおもいながら読んでます」とありますが。

伊勢:支配性や操作性っていうポイントにひっかかるのは、西村さんが、
自分の中でおきていることに気がついている、すごく純粋にみつめているからだろうな。
あぁ、そー、と思う。まったく僕も同感で、自分も支配性や操作性がとても強い人間だと思ってる。その自覚があるかどうか。そのことを受け止めているかどうか、が決定的なんだよね。

──西村さんは、伊勢さんからみてどんな人ですか?

伊勢:無垢な人。少年のような好奇心と関心でモノをみることができる、稀有な方。

──かの有名な、全国教育系ワークショップフォーラム(2002〜04)の実行委員長ですよね。
伊勢さんは、その第1回にゲストで参加していて。

伊勢:中野民夫さんからも、西村さんの存在は聞いていたし、印象に残っていて。…でも、いちばんはやっぱ本だなぁ。「自分の仕事をつくる」っていう、彼の本。西村さんのメッセージや大切にしているところを読んで、これは"自分さがし"している人たちのバイブルみたいになるだろうな、っていうぐらい相当感銘したし。あの熱いメッセージをさらさら、淡々と書いている所も、また西村さんという人も知っていたので、余計にこうマッチして、言葉のクリアさも僕にはないな、と思って。
で、そういう人が、板の上にのっかる面白さを、まったく違う角度から見てみたいと思った。

──ワークショップフォーラムでは、プロデューサー的な立場だったんですよね。ほとんど、前に出てこなかったと聞いています。私も本を読んでいて、伊勢さんとちょうど同時進行で「ゲストのひとりは西村さんだ」って感じていたのを思い出しました。わたしはあの本の「モノや人に対する自分の
姿勢が、仕事ににじみ出る」っていうところにピンときたんです。
しかも、全国教育系ワークショップフォーラムで、あのムーブメントをおこす場づくりをしていた人だし。舞台に上げてみたいって。

伊勢:ザ・ファシリテーションセミナー(2002〜04)を終えて、次のキーワードは「場」だなと思って。それってアートだな。アーティスト、職人の世界だなって僕ら喋っていたよね。
そこでまず最初に、西村さんだ!ってなって、思いついたその場で夜中だったけど、
すぐに電話した。あの時は、気づけた嬉しさが勝ったね。
「場づくりセミナー」にたどり着いた経緯と、イメージを簡単に伝えて。そのセミナーをコーディネートするんじゃなくて、そこでダンスを踊って欲しいって誘った。「面白そうですね」と即OKをもらえた。

──昨年は、西村さんの得意ワザのインタビューを、いろんな場面で見ることができました。
あれは面白かったなぁ。西村さんの人に対する向き合い方や、言葉を適当に流さない姿勢など見られました。今年はどんなだろう?

伊勢:彼はセンス・オブ・ワンダー、物事に対する好奇心があるよね。今年はゲスト同士のからみも、もっと自然に自由自在になると思っているので、あえて西村さんのインタビューを用意しておかなくても、出たり引っ込んだり、自由にできるんじゃないかな。

――最終回、西村さんに期待することは?

伊勢:遠慮なく踊って欲しい。周りを活かそうとするんじゃなくて。

――過去2回では、あまり踊れなかったのでしょうか。西村さんの踊りってなんでしょう。

伊勢:西村さんのデザインやプロデュースをみるだけでは、つまんない。彼もそのデザインの一部になったり、プロデュースしながらもその中に飛び込んだりするのが、面白いわけ。そこを期待している。
プロデュースは、そりゃばっちりやるだろうな、見事なやつを。でも、それだけでは面白くない。過去2回とも、西村さんは間違いなく踊ってくれたと思う。今回はますます見えてるので、その能力をもってすれば、ちょいちょちょいって感じで、すごくいいデザインができちゃいそうな気がするんよね。もう西村さんには見えてる気がする。
もちろん、そういう力も発揮して欲しいけど、それだけじゃない。そんなの忘れて踊る西村さん。そんな出会いがおきればいいね。

──最近、西村さんは、エンカウンターグループに興味をもたれているみたいですよ。

伊勢:アーティストとしての部分を、すごく刺激するんじゃないかな。何もないところから何かが生まれて、瞬間的な気持ちや場の空気や、いろんなものが化学反応をおこしていったりする、エンカウンターグループの特徴が。ひとつの言葉がすごい重みを持って届いたり、とても上滑りになったりと。生(ライブ)のことがいっぱい起きてくっていうのは僕も大好きだし、西村さんはデザイナーとして、それをすごく純真に面白がってるんじゃないかなと思う。

――アンケートの続きで、「伊勢さんは〈今年はこれまでの参加者に、お返しができると思う〉って書いているけど、それって具体的になんだろう?」とありますが。

伊勢:3回目にあたる今年は、あえて研修的な要素もちゃんと提供したいと僕が話した、その辺りのことだよね。これまた、根拠はないけど確信はあるってやつなんだけど。1回目(2005年)は、ヤリたがりが、ヤリたいように舞い上がりながらヤッタ感があって。2回目(2006年)に、それをやっとある種の形になるところまで示せた。

西村さんをはじめ集まってくるゲストの人たちそのものが、〈場が「育ちあう場」になる〉ための具体的な道具、メタスキルだと思うんだよね。彼らの存在を通じて、なにかモデルを示したり、その場で起きていることを解説したり。それが、研修的要素かな。
今まではこう、偶発的に持ち帰られる人が、持ち帰られるぶん持ち帰ったって感じやけど、今年は確信犯的に「これをもって帰ってね」っていうのができそうな気はしている。ちょっと調子に乗りすぎかな?(笑)

――西村さんから参加者の皆さんへのメッセージは、こんなふうに書いてあります。
「ゲストのポジションで関わっていますが、いちばん勉強になっているのは、たぶん僕です。全国教育系ワークショップフォーラムを通じてふつふつと湧いていた【ファシリテーション】への疑問が、年を追って鮮明になってきた。
今年はひとまずの最終回。伊勢さんたちを含み、僕らにも大切な機会になるでしょう。ワークショップやファシリテーションに興味がある。けど、なにかモヤモヤとした部分もあるんだよね…という人は、ぜひこの機会を逃さずに!」