撮影地:ダービー Derby・キンバリー Kimberley(バオバブ)

● プリズンツリー
キンバリーを東から西へ旅するとハイウエイはダービーの手前でT字路となる。右折すればダービー、左へ進むとあこがれのブルームである。ブルームへと先を急ぐ友人達に説いて我々は一旦ダービー方面に進んだ。理由はこの木を見るためである。ここまで陸路やって来た旅人達なら、ボブツリーの奇異な姿にも免疫ができているはずであるが、このボアブ・プリズン・ツリーには再び好奇の目を奪われるに違いない。写真の人物と比較して一目瞭然の太い太い幹、そして幹には幅約1メートル、高さ2メートルの穴が開いている。中は空洞で、大人数人が入ることができる。かってアボリジニの囚人をこの中に繋ぎ止めていたというのは有名な話である。樹齢千年を越えるというユーモラスな風体は「せっかくここまで来たんだ、俺に会って行けよ」と旅人に語りかけているようだ。幹の周囲の土が観光客に踏み固められているのが気になった。かつて屋久島の縄文杉が同じように周囲を踏まれ衰弱してしまったと聞いたことがある。秘境キンバリーに彩りを添える奇妙な姿の巨木がいつまでも元気であることを祈りたい。

Nikon F4 with MF-23,
Ai'D Fisheye Nikkor 16mm F3.5,
Fujichrome PROVIA ISO 100 (RDP II)
Aperture-Priority Auto @ F5.6
[Trimming]
South of Derby, Kimberley, Western Australia
May, 2000

2003.10.02 掲載
2004.09.07 文章修正