撮影地:カルンバ・ポイント・マングローブ

● マングローブに願いを
カルンバを離れる前日、最後の夕陽を望んだ。斜光に輝くマングローブの若芽が印象的だった。今度来るときにはきっと大きく成長していることだろう。オーストラリアは"マングローブ大陸"と呼べるほど、広範にマングローブ林を見ることができる。ワシの知る限り、東はケアンズ、西はカナーボンから北側の海岸線はおよそ全てマングローブ林である。ここカーペンタリア湾も例外でなく、海岸はほとんどマングローブに埋め尽くされている。バーク探検隊があれだけの艱難辛苦の末、ようやく大陸縦断を達成したにもかかわらず、遂に海を見ることができなかったのは、最後の最後にマングローブ林に行く手を阻まれたためだった。カルンバポイントの対岸も、びっしりとマングローブが生い茂り、およそ人跡を見つけるのは困難だ。湾岸地域にゆっくりであるが確実に開発の波が寄せてきている。されど、マングローブ林に代表される濃密な自然は幾世代後まで大切に受け継がれてもらいたい。小さな若芽に彼らの明日を祈った。

Nikon F5A with MF-28,
Ai AF VR Nikkor ED 80-400mm F4.5-5.6D,
Fujichrome PROVIA 100F (RDP III)
Aperture-Priority Auto @ 5.6
Karumba Point, Gulf Savannah, Queensland
October, 2001

2002.11.21 掲載