私も私の家内も、鏡餅やしめ縄などのお正月飾りにはウラジロを使うものと思っていましたので、 いろんな人がお正月飾りにユズリハを使うというのを聞いて、変わったところもあるものだと思っていました。 一体どんなふうにユズリハを使うのかと思って、図書館で百科辞典を見たりしましたがあまり良く分かりらず、 意地になって大きな書店で冠婚葬祭のしきたりを書いた本を立ち読みしたところ、 鏡餅の場合、半紙のうえにウラジロとユズリハの葉を敷き、その上に太陽と月をあらわす二つのお餅を置き、 その上にダイダイをおくと説明してありました。 ただし同じ本の挿し絵では、ユズリハはお餅の上、ダイダイの下にありましたので、 色々なスタイルがあるということかも知れません。初めはウラジロの代わりにユズリハの枝をつかうものと思っていましたが、 それは間違いで、長寿の象徴のウラジロと一家の繁栄を象徴するユズリハの葉を一緒に使うことを知りました。
ユズリハは新しい葉が出揃ったのち、古い葉が一斉に落ちるので、 これを子供が立派に成長したのを見届けたのち家督を子供に譲り、家系が途切れることなく続いていくことの象徴と見なして、 おめでたいお正月の飾りに使うのだと説明されています。 新しい葉が展開した後古い葉が落ちるというのは、なにもユズリハに限ったことではなく、 クスノキなどでも起こることで、いわば常緑樹の特質と言えるものですが、ユズリハがとりたてておめでたい樹木とされるのは、 葉が大型で美しく、また新旧の入れ替わりが急激で目立つからでしょう。
ユズリハはふつうトウダイグサ科に分類されていますが、保育社の図鑑ではユズリハ科をつくってそこに分類しています。
雌雄異株でやや暖かい地方の植物です。よく似た植物に花の構造が少し違うヒメユズリハがありますが、
全体がやや小型であることを除くと類似点が多く、大きな葉を付けたヒメユズリハと、小さな葉を付けたユズリハの区別は困難な場合があります(右写真:ユズリハの果実(万博日本庭園 1999.12.12)。
以前、同じ職場にいたMさんの故郷は丹波の方だそうですが、裏山にはユズリハの自生がないので、 お正月飾り用に各家に一本づつユズリハを植えていたそうです。