ユキヤナギ  Spiraea Thunbergii

ユキヤナギ(大阪市立大学理学部付属植物園:2000.4.16)

ユキヤナギ(大阪市立大学理学部付属植物園:2000.4.16)

バラ科* (シモツケ亜科)シモツケ属 【*APGⅢ:バラ科】

Spiraea:speira= 螺旋に由来するギリシャ名 Thunberg:人名

暖冬の年には、12月や1月ごろからポツポツ花を咲かせるユキヤナギも、3月も下旬になると一気に咲き始めます。 さすがにこの花が咲くと春がきたという気持ちが強くします。数日前まで黒ずんだ枝ばかりだった植え込みが、蕾(つぼみ)がふくらむにつれ、 ほんのりとみどりがかっていき、そのみどりが一気に濃くなって、今度はそれを打ち消すほどまっ白な花で一面がおおわれる。 春というのは、本当に1日ごとに様子が変わっていくものです。

ユキヤナギがウメやサクラと同じバラ科というのは、それでいいような気もするし、何かおかしいような気も します。 じつは、バラ科には大きく分けて4つのグル-プがあります。ウメやサクラのサクラ亜科、バラの仲間のバラ亜科、 ナシやリンゴのナシ亜科、それにユキヤナギやシモツケなどが含まれるシモツケ亜科です。 この4つのグル-プのうちサクラ、バラ、ナシの仲間は、形は大小いろいろあるものの、丸くて水分の多い果実がつきます。 しかし、シモツケ亜科ではこのような水分の多い実にはならず、茶色い、乾いた実がつきます。

シモツケ亜科のなかでは、高さ3~4mの比較的大きな木になって、 熟すると縦に割れ目がはいった実のなるヤナギザクラ (Exochorda) 属がやや特殊なものです。 ふつうに見るのはリキュウバイという、4月にまっ白な花を付ける美しい木ですが、植物園や人家などでときどき見る程度で、あまり見る機会はありません(右写真:ヤナギザクラ(2000.4.16.大阪市立大学理学部付属植物園))

ユキヤナギとコデマリは葉の形は少し違いますが、ともによく似た大きさの白い花を咲かせます。 しかし、枝からの花の出方がちがいます。ユキヤナギは数個の花が直接枝から束になって咲きますが、 コデマリはいったん枝から花梗がでて、その先に数個の花が半球状に丸くつきます。 小さい手鞠のような、という名前の由来です。花のつき方も大きさもユキヤナギ(写真左:大阪府立大学:2000.3.30)にそっくりで、 八重咲きの白い花をつける植物があります(写真右:大阪市大植物園:2000.4.16)。なぜかシジミバナと名がついています。

ユキヤナギ(大阪府立大学:2000.3.30.) シジミバナ(大阪市大植物園:2000.4.16)