ミズナラ  Quercus mongolica

ミズナラ(大台ヶ原山:2001.6.10)"

ミズナラ (大台ヶ原山:2001.6.10)

ブナ科* コナラ属 【*APGⅢ:ブナ科】

Quercus: 良材 jmongolica: 蒙古の grosseserrata: 大きな鋸歯 (きょし)のある

ミズナラはブナとともに日本の温帯性気候を象徴する樹木の代表です。大変大きくなり、直径1.5m、高さ30mに達することもそれ程珍しくありません。ブナのあるところ必ずミズナラありという感じで、両者は共存している場合が多いのですが、北海道ではブナの分布が道南に限られているのに対し、ミズナラはもっと北まで分布しているため、ブナ林とはならずミズナラ林となっています。大阪付近でミズナラがでてくるのは、ブナと同様、金剛山や大和葛城山の山頂部、標高1000m近くあるところです(和泉葛城山にはブナ林がありますが、なぜかミズナラがありません)。

ミズナラとよく似て紛らわしい樹木にコナラがあります。コナラはミズナラに比べますと高温条件のところでもよく成育しますので、大阪近辺の低山でもっとも普通な落葉広葉樹ですが、その一方でかなり低温条件のところでも成育し、大台ガ原山などでもよくみかけます。従って、こういうところではコナラとミズナラガ共存していますから両者を区別する必要があります。

ミズナラとコナラは樹皮の模様や色合いが少し違っていて、ミズナラはやや褐色がかった色合いであるのに対し、コナラでは白っぽい樹肌に縦に走るみぞが目立ちます。しかし、もっとも大きな違いは葉の形態にあり、ミズナラにはほとんど葉柄がなく、葉身が枝を抱くようになることが多いのに対し、コナラには明らかに葉柄があり、葉身が枝を抱くようにはなっていません。これらの点に注意して両者の違いをはっきりと把握しますと、かなり遠くからでもどちらかを見極めることができるようになります。