ギンドロ  Populus alba

ギンドロ(万博記念公園:2002.4.13)

ギンドロ (万博記念公園:2002.4.13)

ヤナギ科* ヤマナラシ属 【*APGⅢ:ヤナギ科】

Populus :ポプラの木 alba :白い

わたしが初めてギンドロを見たのはもう40年ほども前のことで、市街地の樹木が大気汚染によってどんなふうに弱っているかを調べるため、大阪市内の公園や学校を回っているときでした。その小学校や公園が何という名前だったか、今は思い出せませんが、たしか2、3ケ所で見かけた記憶があります。

堺市大蓮公園(2000.5.11)堺市大蓮公園(2000.5.11) この木を見て何よりびっくりしたのは、カエデのような形をした葉の表面は濃い緑色であるのに対し、葉の裏は純白のフェルト状の毛でびっしり被われていて、鮮やかなコントラストを見せていることでした。もちろん、タイサンボクやイチイガシのように、葉の裏が毛で被われている樹木は少なくありませんが、こんなに美しいコントラストをもった木は初めて見たという気がしました。このコントラストはヨーロッパでも目を引き、夜と昼を象徴するものとして花言葉は「時」だとされています(写真:ギンドロの葉の表・裏(堺市大蓮公園 2000.5.11))

当時は、大気汚染のためキンモクセイやマツ科の樹木が弱って大きな問題になっていた時代でしたが、観察するかぎり、ギンドロの木には勢いがあり、元気に見えました。トベラやウバメガシのような海岸性の樹木も大気汚染に強いのですが、キョウチクトウやギンドロのように、空気を取り入れる気孔が毛で保護されている木も大気汚染に強い、というのが一緒に回っていた安藤万喜男先生の説明でした。

ギンドロは別名ウラジロハコヤナギともよばれ、ヨーロッパ大陸から中央アジア、北アフリカにかけて原産するポプラの仲間で、日本では明治中ごろから庭園樹として栽培されています。他のポプラと同様、木の勢いによって葉の形や大きさがかわります。葉はトウカエデのように3つに切れ込んでいるものが多いようですが、勢いのよい若い葉は5つにきれ込んでいることもあります。また、地中を走る根のところどころから芽を出してくる性質も、例えば街路樹に使うポプラや大阪の山でも多いヤマナラシに共通する性質です。ギンドロの若い枝や萌芽枝は、葉の裏と同様白い毛で被われていてカビやクモの巣を連想させますが、枝が古くなると毛は落ちてしまいます。