ORIGINAL LOVE presents 《BURST!》

第116回 (2001年6月14日放送)


<オープニング>
T「先週放送が終わった後に中原昌也氏とこの番組ディレクター二見氏とあとコ
 ンピューマ。その4人でビアホールじゃないや、歌声飲み屋に(笑)行きまし
 たけれども。非常に盛り上がった訳なんですがビールとかみんなで飲んでね。
 えー今日は恒例のレコメンド拡大版をお届けしようと思っております。」


M-01.愛の薬/オリジナルラヴ
<ハガキ紹介>
 この番組ではちょっと珍しいんですけどハガキを1枚紹介したいと思います。
沼田市のアベマリコさん。「田島さんこんにちは。バースト毎週楽しみにしてお
ります。この前のソウル特集面白かったです。田島さんの次のアルバムのイメー
ジというのが何となく伝わってきました。で、教えて頂きたいのですが、2曲目
にかかったアーティスト名を教えて頂きたいのです。私には『アンディーベル』
と聞こえたのですがこれで正しいのでしょうか?」という事ですけどね。『アン
ディー・ベル』これ間違いですね。『アンディー・ベイ』『ベイ』であります。
このアルバムはCD化されております。ただし輸入盤のみでありまして日本盤でCD
化はされておりませんので輸入直レコード屋さんとかね、まあ中古CD屋にもある
かもしれないし、そういった所をちょっとまわってみてアンディーベイ探してみ
て下さい。僕も持ってないんでこれ僕も探します(笑)。僕も初めて知りました。
これがCD化されてるとね。


<今週のリコメンド>
 僕の方は、近頃はもうニューアルバムの曲をいろいろまだ延々とグダグダと作
ってる訳なんですが。先日久し振りにレコード屋に行きまして。もう2ヶ月ぶり
ぐらいかな?物凄い久し振りに行ったんですけど。そこでレディオヘッドの新譜。
新譜というかこれは『キッドA』と同じ頃にレコーディングされてたアルバムだそ
うですけども。その『アムニージアック』っていう…「記憶喪失者」ですか?と
いうアルバムと、あとハーバートね。ドクター・ロックイット。マシュー・ハー
バートのニューアルバム。この2枚。まあ他何枚も買ったんですけど、この2枚は
また僕音楽作るやる気がグ〜っとこう沸いて来たような素晴らしいアルバムでし
た。両方共イギリス人ですよね?…ハーバートはナニ人なんだ?フランス人なの
かな?ちょっとわかんないですけどね。このヨーロッパ勢、やっぱいいなって思
いまして今週はレコメン。まあ沢山いろんなラジオ局でかかってると思いますけ
どね、かけたいと思います。このハーバートのアルバムも情報によると物凄い売
れてるそうでありましてね、外資系レコード店で在庫が無くなってまた新しく入
荷とか、そういう状態だそうで。この間その某有名外資系レコード店…タワーレ
コードですけど(笑)に行ったらですね、なんとそのハーバート・グッズ付きで
イチオシで売られているという状況でありまして。ハーバートもメジャーの仲間
入りか!という感じでありますがね。まあでもこのアルバムの内容を聴くとそれ
もそうならざるを得ないというか。まあ全曲歌モノでホントにメジャー感のある
というか、メジャー感があるから恥ずかしいという訳ではなくて、物凄いクオリ
ティーの高い、手の込んだ素晴らしいアルバムであります。では、Radioheadの
『Amnesiac』から「Packt Like Sardines in a Crushd Tin Box」そしてHerbert
の『Bodily Functions』から「I Know」2曲続けて聴いて下さい。


M-02.パックトライクサーディンズインアクラッシュドティンボックス/レディオヘッド
M-03.アイノウ/ハーバート

 この2枚のアルバムはもう今年に入った中で歴然と…他の沢山出てるアルバム
の中で物凄く飛び抜けていいアルバムだなと。まあ、僕あんまり今年買ってない
んですけどそういう風に思いますね。最近は差が激しいっていうかね、これだけ
のアルバムを作れる人達と、あとは何だか全然面白くないなみたいな(笑)感じ
のアルバムがダーっと沢山あるっていうか。凄くね、ここんところだからホント
に聴いて「あーやっぱりいいアルバムだな」と思えるようなアルバム無くて。僕
はリスナーとしては非常に不満足だというか。やっぱり音楽ってもう全部終わっ
ちゃったのかなあなんてね、極端な言い方しちゃうと、そういう感じもあった訳
なんですけど。ただこのハーバートとレディオヘッドのトム・ヨーク、あとサウ
ンドはメンバーがやってるんでしょうけど、こういった人達のアルバム聴くと、
うーん。まだまだ音楽もクリエイティブなんだな!って改めてちょっと勇気がわ
いて来たような感じがしましたけれども。

 この2枚のアルバムに共通したモチーフがあって。まあ両方とも「暗い」って
いうのがあるんですけど(笑)。ジャズのフィーリングですね。このハーバート
は前作のドクター・ロックイットの『部屋ん中の花火大会』みたいな(笑)そう
いうアルバムタイトルでしたけど。そのアルバムの中の曲ででも、かなりジャズ
のフィーリングを感じるなあ。この人はジャズいろいろ知ってて、で、ミニマル
とかクラブミュージックに接近して行ったような人なんじゃないかなあ、なんて
思ったんですけど。このアルバムではもうそういったジャズのフィーリングが大
炸裂していまして、今の曲なんてホントに殆ど生バンドのジャズみたいな曲です。
これもね作曲が「ハーバート」って書いてありますからビックリしますけれども
ね。ただこれがイージーリスニング/BGMとしての、ただ気持ちいい心地良いジャ
ズっていうのとはまた全然違うアプローチだと思いますね。そういうジャズのフ
ィーリングっていうのは、まあ僕は去年からずーっとハマってる訳でありまして。
何て言うのかな、非・感情的ジャズというか、フリージャズ以降っていうかね。
そうですね、エリックドルフィーから何からこの番組でかけちゃったりしました
けどもね。このアルバムの今聴いた曲なんていうのはもうエディット、ハードデ
ィスクジャズ!みたいな(笑)そういう風に取れるかなと思いました。これ生バ
ンドとね、いろんな…エイフェックスツイン以降オウテカ以降のね、エディット
みたいのが組み合わさっていまして。このハーバート今年来日したんですけど。
僕行けなかったんですけどね、行った人に聞くと、その時のライヴでも生演奏と、
現場でのサンプリングコラージュ、生演奏のですね、をいろいろ交えて面白い事
をやっていたと。コンピューマさんがね、行ったらしいんですけど。コンピュー
マさんに聞くと「今年で最近では1番だったな!ライヴ」と言ってましたけどね。
僕ホントに見そびれたのが悔しい訳でありますが。

 このレディオヘッドの「アムニージアック」。このアルバムも何曲かジャズの
曲がありまして。それもいわゆる普通のジャズとはまあ全然違う。このアルバム
も大変暗いちょっとイカれたアルバムですけども、そういったちょっと屈折した
音響を加えた上でのジャズというか…がありまして。何て言うかね、そういうシ
ンクロニシティーを何となく僕個人的に感じてしまいました。という事で今週の
レコメンデーション。レディオヘッドとハーバートでした。

<リコメンド拡大版>
 はい。それでは今日はレコメンデーション拡大版という事で早速行きたいと思
います。今日の1発目はね、スーパーカーであります。なんと!ね。この番組ディ
レクター二見氏が持って来た訳でありますけども、ビックリしました僕ね。この
新譜、二見さんが気に入ってるそうでありまして。先月リリースされたマキシシ
ングルですね?非常に良かったという事で。ではその曲早速もう行きたいと思い
ます。

M-04.ストロボライツ/スーパーカー

 僕スーパーカーとは一緒に対バンをやった事あるんですけど(00.09.26 WEST
WOOD ONE SHOWCASE at 恵比寿ガーデンホール)。その時はギターバンドだった
んですけど、今回のこのニューアルバム聴くとですね、もう完全に打ち込みです
ね。AOAと確か同じレーベルだったっけな?同じ事務所だったのかな?『AOA』っ
てボアダムスのヒラ君っていうベースの彼がやっている生トランスみたいな感じ
のバンドですけれども。それと一緒の事務所だっけなレーベルだっけな、ちょっ
と忘れちゃいましたけど、その影響があるのかわかりませんけど。こう何て言う
のかな、4つ打ちで。トランスっぽい事をやってるなんて噂は聞いたんですけど、
この曲は何か凄いポップですね。トランスっていうよりもこれは何となく80年代
のエレポップみたいな感覚を持った凄い可愛いいキュートな曲ですね。あのーミ
キちゃんっていうのはなかなか可愛いキャラクターだな。あのASA-CHANG&巡礼
の『花』も確かポエトリーリーディングっていうか作詞で参加してましたけども
ね。こう可愛らしいエレポップみたいな感じに聞こえました僕には。えーという
事で今日はレコメン拡大版をお送りしています。

***
 はい。曲行きましょう。次は『グループ』というグループです。『グループ』
という名前。そういえば昔、漢字でナニナニ団の『団』って書いてグループって
読ませるイギリスのニューウェーブバンドがあったんですけど(笑)それ思い出
しました。今日は日本の若者達の音楽だけをセレクトしております!という事で
すね。スーパーカーとこのグループもまあ日本の若者達。非常に長い曲でありま
して。この『グループ』。彼らのライヴ僕チラっとこないだね、ホッチャの小林
君のDJイベントに出演してるのをほんのちらっと観る事が出来たんですけど。そ
の彼らのCDをここでじゃあちょっと長いけどもかけたいと思います。

M-05.ビフォー/グループ

 これからまだどんどん続くという事ですが。えーと何と言うんでしょうか、こ
れはあれですね、夜本を読みながら何かしながらこうバーっと後ろに流しとく、
そうすると気持ちいいのかな。みたいな(笑)そういう音楽かなと思いましたけ
ども。例えばこういったサウンドだったら、僕だったらあれだな。やっぱりルー
リードみたいなね、ああいった人の呟きみたいな歌みたいな、ポエトリーリーデ
ィングみたいな、わかんないですけど、そういうのが入ってると、グ〜っとこう
音楽として聴けるなぁという感じがしますけども。サウンドだけだとどうもね、
やっぱり何かしながらとか(笑)そういう気がしましたけども。何かやっぱり主
役と言うんでしょうか、主役が不在な感じ。まあそれがこういった人達の音楽の
魅力なのかもしれないですけど。やっぱり僕なんかはパンク世代というかロック
世代というか、古い人間なのかもしんないですけど、こういうジャーマンロック
でも、カンっていうグループいましたけど、カンの影響とかも割となかなか感じ
るんですけど。カンでもやっぱほらダモ鈴木とか、ああいう変な人(笑)。あの、
何だっけな、ダモ鈴木ともう1人のあのヴォーカルの…あの人がいるから何かまた
凄く面白く聴こえてくるという感じもしましたけどね。そういった存在の人がこ
う主役みたいな人がこの『グループ』に加わると非常に物凄い広がり方をするん
ではないかと。そういう気がしましたけどね。はい。今回はレコメンデーション。
前回のソウルとは打って変わって『日本の若者達』でいいんですか?(笑)この
タイトル(笑)。えー、というセレクトでお送りしてきました。

<エンディング>
 今回のレコメンデーション拡大版はなんとスーパーカーとグループ。この2つ
の若手バンド。若手っつっても、確かこのスーパーカーもそんな物凄い若くもな
いですよね?もうそろそろ…僕よりもまあ確かに若いですけどね。あとこのグル
ープのメンバーも多分そんなに物凄い若いわけでもないと思いますね確か。ライ
ヴを観た感じ。この間小林君のDJイベントのライヴに行ったら、この手のグルー
プみたいなバンドが割と何バンドか出てましてですね。あの『界』っていう、こ
の番組で1回かけましたけども。あの人達も出てまして。あの人達といろいろしゃ
べったんですけど「オリジナルラヴ聴いてました」とか言われちゃいました(笑)
『界』はちょっと僕観れなくて。シカダの小川君は見たんですけど。やっぱり小
川君は面白かったですね。シカダもやっぱりインストゥルメンタルなんですけど、
やっぱあの小川君の圧倒的な個性っていうかね、非常にいい意味で青臭いという
か。まあ男気といいましょうか。ああいった匂いが非常に充満してるライヴで凄
いカッコ良かったですね。前小川君と飲んだ時に「絶対歌った方がいいよ。歌っ
て言葉言って何か喋んなよ」とか言ったら「じゃあ分かった。今月から試しに試
験的にやる!」とか言って。それでシカダのこないだのライヴもマイクが立って
ましてね。「アー!」とか「ウー!」とか唸ってましたけど。「言葉を自分に取
り入れていきたい」と小川君も言ってましたけど。何かね、ああいった音響とあ
とやっぱり言葉っていうのがね、僕はこういう立場だから、そういう風に思って
しまうのかもしれませんけれども、まあこれが古いロックのしがらみに捕らわれ
てると言われちゃあそれもおしまいなんですけど(笑)。何かあそこで1個の単
体としての芸術っていうか、言葉と歌と音響と。その結び付いてる所っていうの
は、僕の中ではやっぱりどうしても捨て切れない所でありまして。何かそういっ
たバンドの事をやっぱりいいなと思ってしまう傾向にあるんですけど。シカダの
小川君とかね、せっかくあんなヘンテコな個性を持ってるんで、歌い出したら凄
い面白いバンドになるんじゃないかなと思ったりしましたけど。いいバンド、悪
いバンド、やっぱりそういったね、圧倒的な個性っていうか、主張っていうか、
そういった物があるか無いかでいい悪いっていうのは殆ど決まってしまうという
かね。例えばルー・リードとかパティ・スミスとか、ああいった人達はやっぱもう
バックのオケのサウンドなんか別にどうでもいい訳でありまして。彼らが呟いて
りゃホント芸術になってしまうと。まあこれは正反対の例でありますけど。でも
まあそういった領域、そういった次元に辿り着くには、やっぱり本当に芸術的な
努力をしなきゃいけない訳でありましてね。まあ最近で言うとレディオヘッドと
か、あとハーバートっていうのはね、1つの僕にとっては音楽、ロックがまだま
だクリエイティブなんだと言えるような事を本当に実感させられた2枚でありま
した。いろんな機材を駆使しなければならなかったりとか。まあ音響派以降です
ね、コードワークと音響の操作と言葉と歌といろいろ実は役割増えてる訳であり
ましてね。大変になってきてますけども。それでもいろいろ音楽が生き生きと。
「やっぱりクリエイティヴだよな」と言えるような音楽っていうのは、作る気合
いをなかなか持ちにくくなってきてるんですけど、やっぱ持たなきゃ!と。この
レディオヘッドとハーバートを聴いて思いました。そういう風にみんなも思って
いるのか…どうでしょうか?と思って音楽やっていきたいと思っておりますが。
なんか長くなっちゃって。変な感想…

 という事ですが。来週はゲスト木暮晋也が来ます(笑)。それでのうのうとや
ろうかと思っておりますんでどうぞお楽しみにという事で。それではまた来週。
オリジナルラヴの田島貴男でした。バースト!

 


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Listening & Reported by Jun Arai
Page Written by Kiku^o^Sakamaki