「白萩屋敷の月」

単行本 文庫 新装版


美男の医者
長助が連れて来た兄妹は、分散した呉服問屋の四条屋に取り立てにやって来たのだが、埒があかない。分散が仕組まれたものと睨んだ東吾は、かわせみに滞在していた美男の医者寒井千種に協力を頼む。ご存じ天野宗太郎が初登場。
恋娘
塗物問屋山口屋の一人娘のお鹿は手のつけられない我が儘娘で、父親を川に突き落としてしまった。
絵馬の文字
絵馬堂に子供の字で「お父つぁんを助け下さい」と書かれた絵馬がかけられていた。やがてその絵馬を書いた清之助と義父母が殺された。
水戸の梅
水戸の大百姓の婿養子庄兵衛は16年前、商用で江戸に出たきり帰ってこなかった。やがて成人した息子と娘が父親を迎えに江戸に出た来たのだが・・
持参嫁
四谷の医者坂上周庵に多額の持参金付きで嫁いだ女が川へ身を投げて死んだ。調べたところ、最初の妻は病気で亡くなっていた。
幽霊亭の女
源三郎がかわせみで東吾に話したのは深川の鰻屋逍遙亭に幽霊が出るという話だった。そしてその逍遙亭の女主人おきたが殺された。
藤屋の火事
馬喰町一丁目の旅籠藤屋が火事になり、源三郎が少々曰くのある客をかわせみに頼んできた。京からやって来た娘二人で、江戸にいるお幸という娘の父親を訪ねて来たものであった。
白萩屋敷の月
東吾は兄通之進の名代として出かけた白萩屋敷で青江但馬の御後室香月と会い、その美しさに驚いた。遠い日、兄と香月の間にあったであろう想いに心を馳せる東吾。



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