「犬張子の謎」

単行本 文庫


独楽と羽子板
正月早々江戸ではいやな掏摸が横行していた。介抱されながら掏摸のである。その掏摸が初老の夫婦者らしく、かわせみに泊まっている夫婦者があやしい。
柿の木の下
東吾は長助に誘われて節分の日に木場で行われた川並鳶の筏の初乗りを見に行った。そこで川並をしていた材木問屋岩代屋の倅勘左が梯子から落ちて死んだ。
犬張子の謎
るいは東吾と待ち合わせて花見に行った浅草でかわいい犬張子を買い求めた。夜になってその犬張子を取り替えてほしいと店の主人が訪ねてきた。
鯉魚の仇討
るいは源三郎の妻お千絵に誘われて柳橋の中村楼で催された鯉魚の書画会に行った。その絵師の遊魚斉楽水が自分の脇差を胸に突き立てられ殺された。
十軒店人形市
松浦方斉が仙五郎の初孫の初節句に十軒店で評判の源七鯉を祝ってやることになった。ちょうどその時店の前で初老の女が子さらいをするという事件が起こった。
愛宕まいり
六月二十四日の愛宕まいりの日にるいはお吉と一緒に愛宕権現に詣でた。そこで会った深川の材木問屋甲州屋の大番頭がかわせみにやっかいになりたいと言う。
蓮の花
長助は将棋仲間と一緒に上野不忍池で腕比べの集まりを兼ね蓮の花見にやって来た。そこで深川一の会席料理屋大和屋の隠居が三十年前に人を殺したと言い出した。
富貴蘭の殺人
按摩の娘が奉公先の旗本の屋敷で、世話をしていた富貴欄を枯らしてしまった。何百両もする花を枯らしてしまったとその娘は首をくくって死んだ。


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