|
 芝神明宮 「松風の唄」（秘曲）より
|
| |
「あいつ、だらだら祭を見物に行ったんだ」
芝神明宮の大祭であった。
九月十一日からはじまって二十一日までの長い祭なので、俗に江戸っ子はだらだら祭と呼んでいる。
「かわせみ」の常連で、上方から来ている客がその祭を見物したいというので、るいが案内旁、一緒に出かけていた。 |
|
 |
芝増上寺のすぐ近くにあり、都心のビルの中にひょっこり現われました。
芝大神宮は伊勢神宮の御祭神天照皇大御神と豊受大神の二つの柱を主祭神としてお祀りした、平安時代・一条天皇の御代に創建された約一千年の歴史があるお社です。
関東のお伊勢さん（芝神明）と呼ばれ親しまれていますが、祭礼は俗にだらだら祭と言われ、毎年9月11日から21日まで行なわれます。 |
| ←芝神明宮（芝大神宮） |
| |
|
| |
| |
大川端の「かわせみ」では、るいが神明宮の生姜市で買って来た生姜が、毎日のように食前に出た。
「なにしろ、まあ、ずらりと生姜の店が並んでいて、どの店もとぶように売れているんですよ。神明様のお祭に行って、生姜を買わない人なんてありません。なんていったって、薬味にしておいしいし、体のためにもいいんですって･･････」 |
|
|
|
| |
だらだら祭は別名「生姜祭」ともいわれ、祭礼の間境内や神社周辺で沢山の生姜が売られていました。
これは鎮座当時、まわりが生姜畑であったことから神前に供えられ、参拝者にも売られたそうで、今もこのように生姜が売られていました。この生姜を食べると風邪をひかないとか。 |
 |
| 境内で売られていた生姜→ |
| |
| |
|
|
| |
「千木笥っていうんです」
檜の曲物に藤の花が描かれていて、その中に豆が入っている。
「この笥を箪笥に入れておくと着物が増えるんです。神明さんの世話人さんが教えてくれたんですよ」
いそいそと箪笥をのぞいている女房を眺めて、東吾は胸算用をした。
講武所から給金が出たら、日本橋本町へでもいって正月用の晴れ着でも買ってやるより仕方がない。 |
|
|
|
 |
千木筥は芝神明宮だけのもので現在は東京の郷土玩具として知られていますが江戸の時代からだらだら祭で売られていました。
この千木筥の名前の由来は藤づるで編んだ器に餅を盛った餅器を略して千器といったとか、千木（神殿などの屋根の両端に交差した長い二本の木）から作ったからなど諸説があり、千木が千着に通じるところから、衣服が沢山増えますようにという願いをこめて箪笥に入れておくという習慣があります。
また良縁に恵まれ、幸せな結婚が出来るという縁起物のお守りだそうです。 |
| ←千木筥(藤の花が描かれて、中に入っている豆がカラカラと可愛い音がします） |
|
|