大雄山箱根別院は 箱根ロープウェイ早雲山駅から山道を５〜６分歩いて上って いった所にある。天狗信仰で名高い足柄の曹洞宗「大雄山最乗寺」の別院である｡殆どのガイドブックには 載っていないのだが、たまたまあるガイドブックを見ていたら風呂に入れていただけるというようなことが 書いてあったので、昨年の１２月に１度訪れたが、人気が無く風呂らしきものも見えなかったので諦めて帰った｡ 今回の旅行でガイドブックを見たところまだ入れて頂けそうなので、再度行ってみることした｡

　たまたま、 草刈りをしていた人に聞くと入れていただけると いうことであった｡場所はお寺の庫裡という感じの建物の奥ということで、そこに行くとこれまた、 たまたま受付をしているおばさんが居て、どうぞどうぞと中に案内してくれた｡　

別院の露天風呂

露天風呂別の角度から

お布施みたいな感じで１人５００円を払って、大広間を通り抜け階段を下りると、風呂場が有った｡ 一番手前に男性用内風呂、次ぎに女性用内風呂、そしてその向こうに混浴の露天風呂が有る｡早速露天風呂 に入ることにした｡コンクリートで固めただけのシンプルな感じの浴槽だが、東屋風の屋根も付いていて雨 の日でも入れるようになっている｡浴槽の広さは一応１０数人は入ることが出来そうな、かなりの広さだ。 湯は鉄分が混ざっているのだろうか少し茶色をしているが、匂いはやはり鉄分らしきものの他殆どない。 多分ここいらの泉質は硫黄系だったのでは？ と思いながら、辺りの景色を見渡した｡

　左の林と 右の女性用内風呂のため、視界はそんなに広くは ないのだが前方に明星ゲ岳が聳え、眼下に強羅･宮の下あたりの温泉街が見えて、景観はかなりのもので ある｡そして、何よりも深山に我一人居るという感じにさせてくれる、ひぐらしの声しか聞こえない、 静かな環境ががよい。そうこうしている内に連れがやってきた｡女性用の内風呂からは歩いて露天風呂に 来ることが出来るのだ｡静かだねなどと云いながら充分に入浴を楽しんだのであった｡

　男性用の 内風呂には着替えて行かなければないのだが、 ここもかなり広く窓が谷側の方向にくの字に曲がって造られているので視界は抜群によく、絶景という 感じである｡ただ排気が充分でなくガラスが蒸気で曇っていたのが残念ではあった｡浴槽はこれまたくの字型 に２つに区分されていて、一方はかなり熱く、もう一つの方は丁度良い加減の温度の湯が張ってあった。 奥の方に洞窟風の打ち湯という感じのものが有ったが、湯は落ちてはいなかった｡経費節減のためだろうか。 ここの湯は本当に良く温まる湯で、何時までもさめないという感じである｡連れなどは芦の湯に着くまで まだ暖かいなどと云っていたくらいである。５００円という安い値段で風呂を解放し、いただいたお布施は 風呂の維持などに使わせていただき、「皆さんに風呂を楽しんでいただきたい｡」という箱根別院の姿勢に 感謝しつつ山を下りたのであった。