奥湯河原温泉    加満田 1999.9(宿泊)

 

    旅館の玄関前  

 

      部屋  

 JTBが豪華伊勢海老の宴 と題して各人に一匹ずつの伊勢海老料理が付くキャンペーンを 湯河原の温泉旅館で実施をするというパンフレットを見た。その中にその昔文学者達が良く訪ねたという 普段では二万五千円以上もする「加満田」が一万七千円ばかりで伊勢海老が付いた料理を食べられると 云うので、予約を入れる。
  この旅館は京都風の 日本庭園を持つことでも有名で普段の料理の他に伊勢海老料理 が付くというので大変楽しみにして出かけたのであった。
 今日は湯河原に行くと云うことであるが、途中丹沢の中川温泉に日帰りで入るために、自宅を出たのは 午前10時前であった。中川温泉の日帰り入浴を終えて旅館に着いたのは午後3時頃であった。
  旅館「加満田」は 奥湯河原温泉郷に入ると直ぐの右側の小さなは道を 50メートルくらい入った所にあった。普通の民家とを変わらないような比較的小さな表札が門の 左側に掲げてあるだけの落ち着いた雰囲気を持った旅館である。道の向かい側に造られた広場という 感じの駐車場に車を置くと直ぐに年輩の 男性が「いらっしゃいませ。」と云いながらやってき手荷物をお持ちしますと云う。玄関を入り、直ぐ右側 にあったフロントみたいな所でチェックインをしようとすると、お部屋の方でさせていただきますと云う。 やはり老舗旅館は違うなぁなどと思いながら部屋に案内して貰う。

 

      庭園にて1  

 

      庭園にて2  

 案内されたのは 玄関から直ぐ左に入ったところにある「躑躅」という難しい漢字を 使って書かれた和室であった。入ったところに畳の踏み込みがありその奥にトイレ、浴室と続いている。 部屋の浴室は檜の木で造られたもので、部屋の中に入ると直ぐに人がやってきて湯をなみなみといれていった。 部屋は八畳の広さでその外側に三畳ばかりの畳が敷かれた小さな部屋が有り、この部屋の為の庭という 感じの日本庭園が窓の向こうに広がっていた。床の間には小さいけれども生け花が生けてあり、部屋の 造りや置かれた道具類など全体的にやはり老舗旅館と云うことを感じさせてくれる。
 部屋で仲居さんの入れて呉れたお茶を飲んでると番頭さんとでも云うのだろうか男の人がやってきて 宿帳の記入をお願いしました云う。部屋数の少ない老舗旅館ならではのチェックインとでも云うことが 出来るのであろう。
 部屋で少し休憩をして、 早速日本庭園を見せて貰うことにする。日本庭園は先程車を 駐車した広場の下の方にあった。何年か前に京都の庭師に依頼して造られたという。池を中心にした回遊式 の庭園で京都の庭らしい雰囲気を持っていたが、やはり手入れが大変なのか蜘蛛の巣や伸びた草などがあり 少しやつれた庭という感じがした。

 

      露天風呂  

 

      内湯  

 庭から帰って風呂に 入れていただくことにする。露天風呂は部屋から長い廊下を 少し下った旅館の東端の方に別棟で造られている。元々此処の旅館の当主は露天風呂が余り好きでなかった と云うことであるが時代の趨勢には勝てないと云うことで平成11年に新しく造られたということである。 やはり和風をイメージして造りになっているのだが出来たばかりということもあって、木の香りが辺りに 満ちていた。露天風呂の浴槽は半円形型の小さなものでその半分くらいまで屋根が掛かっているもので あるが、直ぐ前の湯河原の山並みから箱根続く山並みまで眺めることが出来て開放感はかなりのものである。 泉質は無色透明無味無臭で、湯の温度は40度位だろうか丁度良い加減のものでありゆっくりと湯船に 浸かって辺りの風景を眺めながら風呂に入ることが出来12分に湯浴みを満足できる。
 階上の大浴場が 明朝には女性専用になるというので、階段を上がって大浴場 の様子を見てみることにする。 やはり周りは木の板塀で囲み、木の椅子に木の湯桶を配するなど、木の香りを重視したような感じの造りで あったが、全体的にしっとりとした雰囲気を醸し出していた。辺りは少し暗くなってきて外の景色は余り よく見えないのだが、大きなガラスの向こうに露天風呂と同じような湯河原の景色が広がっていた。

 

      夕餉の料理  

 

    大きな伊勢エビのお造り  

 風呂から上がって暫く休んでいると、 仲居さんが夕食の準備を始めた。そのうちに女房殿も風呂から 上がって来ていよいよ夕食の始まりである。
 料理は一匹丸ごとの伊勢海老のお造りを中心にして、先付けや、お造り、煮物、酢の物、茶碗蒸しなどが 並んでおり、流石になかなかに豪華な感じのものである。先付けは「栗風に作られたおこわ」「牛蒡巻の 味噌味」「芋羊羹とゼリー」「コハダの酢の物」で、旅館のお造りは「マグロに甘エビとイカ」煮物は 「茄子と海老しんじょ」といった感じである。後から運ばれてきたのは「えぼ鯛」の焼き物と 「和風ボルシチ」という感じの肉料理である。薄味ながらこくが有るという感じで流石老舗旅館の料理 という感じであるが何と云っても伊勢海老の刺身をがぶりと食べられると云うのが豪勢で、久しぶりに 豪華な夕食をしたという思いで大満足であった。
 暫くテレビなどを 見ながら部屋で休んで、再び露天風呂に入ることにする。 辺りは真っ暗であったが、何時の間にか晴れている夜空の星がとても綺麗で、「星見露天風呂」と名付け たい感じのものであった。
 朝三度び目の露天風呂 に入り、明るくなった辺りの景色を眺めながら十二分に 露天風呂の雰囲気を楽しんだ後、この旅館の昔からの内湯の方に入ることにする。この内湯は、 パンフレットにもあるような有名な作家達が入った浴場で、旅館の1階にある「大風呂」と呼ばれて いるものである。脱衣場で服を脱いで中に入ってみると、思ったほど浴場は広くなかった。ほぼ四角形を した間口2間奥行き3間位の広さでで前方にやはり大きなガラス窓があり景色が良く見えるように なっている。やはり木造りという感じを重視した浴室で少し古い感じのする壁などは逆に小林秀雄や 獅子文六などが入った風呂なのだという歴史などを感じさせてくれる。前方の窓ガラスの一角が開く ようになっていて其処から心地よい朝の風が流れ込んでいた。

 

     お造り、煮物など  

 

     おこわなどの前菜  

 しばし文豪達が入った風呂に入っているという感慨に浸りながら前の湯河原の山並を眺めていた。
 風呂から上がってくると既に布団は揚げられていて部屋は直ぐに使えるようになっており、接待がきめ細 かいということ感じさせてくれる。
 朝食は 「卵焼き」「鯵の干物」「ほうれん草のお浸し」「蒲鉾」 「ワカメのみそ汁」など旅館定番の品物であったが、老舗旅館らしく吟味された味であった。
 「過剰な接待はしない」と いうのがこの旅館の当主鎌田さんの信条と云うことであるが、 全体的に何か暖かいというか親戚に泊まったというような感じの居心地の良いものであった。チェックアウト も入ってきた時と同じように部屋でして、荷物を持って玄関の前まで行くとこの旅館の若女将にであろうか 「この辺りは紅葉が綺麗ですからその時期に又どうぞ」と云いながら見送ってくれた。

満足度:風呂**** 料理***** 部屋*** 接客****  

     施設の概要

  所在地 足柄下郡湯河原町宮上784  0465-62-2151
  交通 ・JR東海道線湯河原駅から奥湯河原行きバスで終点徒歩3分
            ・小田原厚木道路・石橋IC→国道135号県道経由→約17km
  施設 
浴室  内湯 露天風呂   駐車場  完備
  泉質 ナトリウム・塩化物・硫酸塩泉  度
  効能 神経痛・きりぎず・慢性皮膚病・リューマチなど
  日帰り利用  不可