ウォッチ原稿用【2005年6月22日】

県議の海外視察中止を申し入れ

 

 群馬県議会は6月6日の各会派代表者会議で、実施を決めていた2005年度中の海外視察について、前回2000年度と同様に特別委員会単位で行うことを確認しました。

 今年1月の各会派代表者会議では実施は決めたが、常任委員会の調査に変更すべきだといった意見もあり、検討項目となっていました。

 県議らによる県内視察調査を名目の宴会旅行事件を追及している市民オンブズマン群馬では、県議会は改革委員会を作って何をするのだろうと思っていたら、海外視察を任期中に一度楽しもうという県会議員らの策略だったのです。

 県内調査宴会事件では、被告の県議らが控訴して、東京高裁での控訴審で頑張りだしたのもうなずけます。

 海外調査も審議上の必要があれば否定しませんが、まず、実施を決めておき、委員会で何も審議をしていない現在、特別委員会単位とすることを決めたり、実施時期まで決めています。審議上の必要性などあるはずがありません。

 例えば、先日の中国での反日運動を調査に行くとしたら、その時に行かなければ効果がないわけです。だから、審議と調査先、調査時期は密接な関係があるはずです。

 これから希望を募って観光先を決め(もう決まっているかも)、それに合わせて、特別委員会で何を審議する(ことにするか)を決めるのでしょう。まさに本末転倒です。海外観光と県内温泉宴会旅行のための特別委員会設置です。

 そこで市民オンブズマン群馬として、反対声明を決議し、議長に中止の申し入れをすることにしました。

 決行日は6月22日(水)。小川代表、杉山副代表、鈴木事務局長、樋口弁護士、鎌田顧問の5名が当日10時半に県民サービスセンターに集合した後、まず1階の議会事務局を訪れました。

 総務課長に面談を求め、用意した全県議に対する公開質問状を樋口弁護士から提出しました。議会事務局によるとアンケート形式での議員全員に対する公開質問状は初めてだとのこと。かならず全議員に配布することを約束してもらい、7月7日までに回答を頂くこと、回答がない場合でも結果は公表することを伝えました。

 

 

 次に、議会棟5階の秘書課に行き、中村紀雄議長宛に海外視察の中止を求める申し入れを議会事務局長に提出しました。本来は直接議長に渡そうとしたのですが、公務多忙を口実に面会できなかったため、事務局長に対して本文朗読の上、手渡しました。

  

 

 その後、午前10時から県庁 5階の刀水クラブで記者会見を行いました。オンブズマン側は、視察は必要性を審議して認められるもので、具体的なテーマがない段階で実施や費用を決めるのは、「まず視察ありき」の姿勢だとして、中止を申し入れたこと。県議54人を対象にした公開質問状では、視察方針の賛否や参加の有無、視察のあり方についての考え方を質したことを記者たちに報告しました。

 小川代表は「海外視察がすべて悪いのではないが、審議も尽くさずに実施を決めるのは公費の無駄遣い」と話しました。杉山副代表からは「6月10日の各特別委員会で、海外視察の実施の必要性、目的、テーマ、時期などを検討するというので、その議事録を本日、事前に公開請求したところ、議会事務局議事課委員会係の担当者は、『まだ出来ていない、2ヶ月ぐらいかかるのでそれからで良いか』というので、『製本された議事録ではない。単なる委員会の記録がどうして2ヶ月もかかるの?』と聞くと、事務局は『仕事の合間にやっているので、それくらいかかる』という返事だった」とする報告を行ないました。つまり議事課の仕事は、議事録を作ることなのに、彼らの議事課の仕事は宴会の手配です。彼らは心底、そう思っているようだ、ということを言いたかったのですが、果たして記者たちはどの程度理解できたでしょうか。

 なお、6月10日の委員会審議の概要は委員長報告と言う形で公表されています。

http://www.pref.gunma.jp/k/01/h17houkoku/iintyouhoukoku.htm

これを読むと海外視察については一切触れていません。しかも、悲しくなるほど無内容です。

 県議の海外視察は、6月6日の各派代表者会議で、特別委員会ごとに一人当たり百万円以内の予算で、年度内に実施することを決定。テーマや目的意識を持つことなどが条件に挙がりましたが、具体的な時期や視察場所は決めず、4特別委ごとに協議することになっています。

 視察は4年間の議員任期中に一回は実施することが慣例化しています。

 1996年1月には、環境保護調査の名目で、県議5人が南極大陸に行き、税金の無駄遣いとの批判を受けた例もあります。

 最近では、2001年8月と02年4月に4特別委員会単位で実施。延べ県議40人、県職員8入が参加、総額約3450万円の費用が支出されました。

 翌日の新聞報道によると、中村議長は「海外調査は県政推進の提言や検証を行い、議会活動の充実と県民福祉の向上に役立つ」とコメントしました。まったく県民勘定をわかっていない様子です。

【オンブズマン事務局】

県議会議長宛て申入書

                                                                                                                200522日

群馬県議会議長 中村紀雄様

                                                                                               市民オンブズマン群馬

                                                                                     代表 小川 賢

申   入   書

1 議長をはじめ議員各位におかれましては、日夜議員活動に真摯に取り組まれ、そのご努力に対して、群馬県民として敬意を表します。

 さて、貴議会は、すでに再開を認めていた海外視察について、さる6月6日の各会派代表者会議で、かねてからの県民の批判をかわすためか、@特別委員会単位で、それぞれ行き先を協議して実施する、A時期は11月か来年4〜5月を予定、Bテーマ、目的意識を持ち、しっかりとした行程を組む、C1人あたりの上限額は100万円とする、の4点を確認されたとのことです。

2 国際化が進んだ現代においては、地方議会といえども、海外視察の必要性を否定することは出来ません。しかし、視察は、審議上の必要性から認められるものです。そうであれば、特別委員会が設置さえされていない段階で実施を決められるということや、実質的な審議もなされていない段階で、その時期及び費用が決められるということはあり得ないはずです。

 今回の決定は、「任期中一度の楽しみ?(6月7日読売新聞)」とも報道されましたが、明らかに県政の具体的テーマに基づくことなく、海外視察することを当然の前提として、このために特別委員会を設置して審議しようというものです。海外視察の必要性を創り出すための特別委員会と言うべきで、まさに本末転倒です。官民の区別なく、まず出費を決め、その後にその必要性を考えるなどということは「もったいない」の究極の姿と言うべきものです。

3 このように、貴議会が再開を決めた海外視察は、その経緯からして、到底、審議上の必要性からのものとは言えません。南極視察が批判されたときと何も変わっていません。そして、県民には、改革検討委員会の設置など貴議会の一連の行動は海外観光旅行をカムフラージュするための努力としか写りません。そのような努力よりも、議会審議の充実に全力を注ぐべきです。審議が充実すれば、審議上の必要から、テーマや目的の選定に頭を痛めることもなく、いやでも、海外に行かざるを得なくなることでしょう。

4 以上、私たち市民オンブズマン群馬は、このような本末転倒の海外視察の復活に反対を声明し、即刻中止することをここに申し入れます。

以 上

全県議への公開質問状

2005年6月22日

群馬県議会議員各位

                                                                                              市民オンブズマン群馬

                                                                                     代表 小川 賢

公 開 質 問 状

 貴職におかれましては、日夜議員活動に真摯に取り組まれ、そのご努力に対して、群馬県民として敬意を表します。

 さて、群馬県議会は、すでに再開を認めていた海外視察について、さる6月6日の各会派代表者会議で、@特別委員会単位で、それぞれ行き先を協議して実施する、A時期は11月か来年4〜5月を予定、Bテーマ、目的意識を持ち、しっかりとした行程を組む、C1人あたりの上限額は100万円とする、の4点を確認されたとのことです。

 私たちは、国際化が進んだ現代においては、地方議会といえども、海外視察の必要性を否定することは出来ないと考えます。しかし、視察は、審議上の必要性から認められるものです。そうであれば、特別委員会が設置さえされていない段階で実施を決められるということや、実質的な審議もなされていない段階で、その時期及び費用が決められるということはあり得ないはずです。

 今回の決定は、「任期中一度の楽しみ?(6月7日読売新聞)」とも報道されましたが、明らかに県政の具体的テーマに基づくことなく、海外視察することを当然の前提として、このために特別委員会を設置して審議しようというものです。海外視察の必要性を創り出すための特別委員会と言うべきで、まさに本末転倒です。官民の区別なく、まず出費を決め、その後にその必要性を考えるなどということは「もったいない」の究極の姿と言うべきものです。

 そこで、貴職に質問させていただきます。

1 今回の各会派代表者会議における海外視察実施に関する方針の決定に問題点はないとお考えですか。その理由を含めてお答え下さい。

2 貴職はこの方針に従って実施される海外視察に参加する機会が与えられたら参加されますか。その理由を含めてお答え下さい。

3 国内外の視察旅行のあり方につきご意見があればお聞かせ下さい。

名前〔        〕

 なお、本質問状は貴職に提出する際に記者会見で明らかにし、また貴職のご回答を得た上で、あるいは得られなかったときに、再度記者会見で回答の有無及び内容を明らかにしてまいりたいと考えます。同時にその経過を含めて当市民オンブズマン群馬のホームペイジ上でも明らかにし広く群馬県民に広報してまいる所存です。

 つきましては、平成17年7月7日限り、下記に郵送又はFAXにてご回答いただきますよう、お願い申し上げます。

市民オンブズマン群馬

  事務局長 鈴木 庸

群馬県前橋市文京町1--10

電話 027-224-8567

FAX027-224-6624