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去年の「夜会」をさぼったので、ほぼ2年ぶりに中島みゆきさんを聴く。
今回は休憩を挟んで、3時間近い長丁場だったが、あっという間に終わってしまった。もっとずっと聴いていたいという感じが残る、(いつも通りの)素晴らしいコンサートだった。
新しいアルバムの曲がいくつか入るのは当然だが、それ以外は、どちらかといえば70年代の懐かしい曲が中心だったように思う。
どの曲も素晴らしかったが、中でもまず、「夜曲」が聴けたこと。この曲は、中島みゆきの(というより世の中の全ての)ラブソングの中で最高のものの一つだと思うが、これを一度生で聴くという念願が叶った。アルバム「臨月」のアレンジとは少し違っていたし、多分、完全なフルコーラスではなかったと思うが、それでも、素晴らしかった。この曲は、歌詞に若い頃の中島みゆきの「本心」読み込まれているような気がしてならないが、もしそうだとしたら、こんな曲を贈られた男はどう思ったのだろうか。
「二雙の舟」の完全版を聴けたのもすごかった。今回、アルバムのVocalオリジナルメンバーが揃ったということらしいが、夜会ではなく、コンサートでこの曲を聴くのも、やはり素晴らしい。
アルバム「寒水魚」から歌われた2曲も良かった。「時刻表」など、生で聴く機会があるとは思わなかったが、当時聴いていたときよりずっと良い曲だと感じた。世代的に特にそう感じるのかも知れないが、70年代の中島みゆきのすばらしさをあらためて認識した。(もちろんそれ以降も素晴らしいが、その頃の曲は、「若さ」が武器になっていることがよく分かる。)
そして圧巻は「時代」。無伴奏で切々と歌い出されたが、40年を経てなおあれだけ人の心を打つ曲は、本当に素晴らしい。聴きながら涙を流している人がたくさんいた。自分の歌で、たくさんの人を涙ぐませるのは、歌い手にとって本望だろう。
正月明け最初のコンサートということもあって、休養十分のみゆきさんの声の調子は良く、ときには語るように、ときに叫ぶように、そして、ときに情感豊かに使い分けられる声も全く衰えるところがないと感じた。我々と同じ「あら還」世代とはとても思えない。修練の賜なのだろうが、私も負けてはいられないとも思った。
今回はステージ向かって右側、前から数列目という恵まれた席で、それも良かった。ただ、雑ぱくな音響装置を通して聴く大音量は、もう少し何とかならないのだろうかと、それだけは少し残念だ。
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