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楽しみにしていた先月のライプツィヒ・ゲヴァントハウスの公演が中止になってしまったので、今年初めてのコンサートとなる。今年も、結果的に紀尾井シンフォニエッタ東京のコンサートから1年がスタートすることになった。
今回は、コリヤ・ブラッハーによる弾き振りということで、前回とうってかわって、紀尾井らしい実に緊張感あふれる良い演奏会だった。協奏曲以外はブラッハーがコンマスの席に座るのだが、(そう思って聞くからかも知れないが、)そうするとベルリン・フィルも斯くやという雰囲気が全体に漲る。2ndヴァイオリンのトップに豊島さんが座るのだから、実に豪華な感じとなる。
フィガロもいいし、ブラームスも申し分ないのだが、なんといっても白眉はショスタコーヴィチだろう。前にも書いたように、この作曲家には何となくなじめないものを感じていたが、この室内交響曲を聴いて、考えをあらためた。
弦楽のアンサンブルでは日本でも有数(と私は思っているが)のオケが高い緊張感を持って演奏するのだから、悪かろうはずもない。名曲名演奏というありきたりの言葉が、ぴったり当てはまるコンサートだった。実質的に指揮者なしの時の紀尾井はいつも素晴らしい。中途半端な指揮者を迎えるくらいなら、こういう演奏会の方がいいと思うのは私だけか。
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