紀尾井シンフォニエッタ東京 第57回定期演奏会
2006年12月23日(土) 15:00開演 紀尾井ホール



モーツァルトイヤーで、とても忙しかった2006年最後のコンサート。本当に今年は、たくさんのコンサートを聴いた。(一生で一番だと思う。)

それでも、最初と最後は、レジデントメンバーとなっている紀尾井シンフォニエッタ東京のコンサート。シフのチェロも、指揮も特別どうということはなかったと思うが、いつものように、いつもの席で、いつもの人たちと音楽を聴くのは、本当にくつろぐ。
初めて聞いたシュレーカーの「室内交響曲」は、とても繊細で、きれいな曲だった。(精妙な映画音楽を聴いていいるような気がした。)

この秋は、たくさんの一流オーケストラを聴いたので、それに比べればKSTは確かに地味だが、弦楽器はとても水準が高いし、管とのバランスも悪くない。指揮者にも的確に反応する良いオーケストラだとあらためて思った。オーケストラは、ホームグラウンドで聴いてこそその真価が分かるのではとも思った。

忙しい一年を締めくくるには、よいコンサートだったと思う。

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
2006年12月3日(日) 18:00開演 サントリーホール



今年最後の「ワールド・オーケストラ・シリーズ」
アバドを別格とすれば、総合点で一番よかったかもしれない。

まず会場。やはり、サントリーホールは、大きなコンサートホールとしては、音響、地の利、客層など全ての点で一番安心できる。この点は大切だ。今年たくさんのコンサートを聴いて、あらためて思う。

ロイヤル・コンセルトヘボウは、アムステルダム・コンセルトヘボウという名前だった頃も含めて初めて聞いた。「名門」というタイトルが常に冠されるが、まさにそう思う。弦と管のバランスもとても良いし、なんといっても、伝統と、格式と、近代的なオケとしての能力のバランスがとても良い。まさに、理想的な「中庸」の魅力と思う。

ヤンソンスは、昨年のバイエルンについで2年連続聞いたが、独特の魅力がある。背中で聴衆を乗せるのが上手いと思う。高い位置で振られるきれいな指揮棒の動きに、ぴったりと音が出てくる感じもとても良い。奇をてらうところは全くないが、リズムも歯切れよく、要所のメロディーラインが実にきれいだ。人気があるのがよく分かる。

そして、内田光子。生を聞くのは2回目と思うが、あの繊細な音はますます洗練されているし、ダイナミックな演奏振りも意外に板についていた。オーケストラに鋭い視線を向けながらの演奏には迫力もあった。「格」からいけば、もう、ヤンソンス以上なのかもしれない。このところ「弾き振り」も多いので、すっかりオケににらみがきいているような気がする。アンコールのシューベルトもよかった。(これだけでも聴きに来た甲斐がある。それにしても、日本を代表する演奏家は女性が多いです。)

ということで、冒頭書いたとおり、全体のバランスがとても良い、総合点最上位のコンサートだったと思う。

ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス(NHK音楽祭2006)
2006年11月16日(木) 19:00開演 NHKホール



忙しかった11月も、このコンサートで一旦おしまい。(どうしてこう重なるのだろうか。)

ベスペレは、グレゴリオ聖歌による交唱が含まれるあまりなじみのない形で、広い(広すぎる)NHKホールでは苦しいと思う。(教会か、それくらいの大きさのホールで聞きたい。)

レクイエムは、いかにもアーノンクールらしい引き締まったとても良い演奏だった。演奏には非の打ち所はないと思うのだが、早すぎるブラボーや拍手はいかがなものだろうか。また、FM放送で生放送をしていることもあって、何となくそわそわした進行も落ち着かない。

広すぎるホールとそのせいで集中力を欠く客席(D席で3階席(それでも最前列なのだが)という席の加減もあるのだろうが、咳の音も含めてとにかくうるさい気がする)は、NHKホールの限界なのだろうか。紅白歌合戦と、モツレクを同じ会場でやるのは無理なのではとも思う。大変良心的な料金設定は有り難いが、雰囲気と経済性の両立はなかなか難しいなと感じた。NHKは、いつまであのホールでクラシックの演奏会をやるつもりなのだろうか。75年のベームの時以来のなじみではあるが、やはり、少し古びたと思う。
先週のオペラシティの雰囲気も少し違和感があったが、後援者とプログラムとホールと料金設定の関係は、いずれにしても、とても難しい。(音楽会と興行とを両立させるのが難しいということだろうけど。)

ニューヨーク・フィルハーモニック
2006年11月11日(土) 18:00開演 東京オペラシティ コンサートホール



今年は沢山オーケストラを聴いたが、(メットをのぞけば)初めての独墺系以外のオーケストラ。その違いにあらためて驚く。そう思って聴くからかもしれないが、明るく機能的な近代オーケストラという感じが強い。きらびやかと言ってもいいかもしれない。(特に金管セクション。)それはそれで悪くないが・・・。女性も多いし東洋系の人も多い。グローバルな感じも漂う。

少し変わったプログラムであった。(これもセットチケットの一枚。単独なら買わないかもしれないプログラムだ。)なんと言ってもマゼールの指揮振りがとてもカッコイイ。「革命」の演奏も良かったと思うが、(作曲者本人の気持ちはどうであったにせよ)スターリンの影のかかるショスタコーヴィチは好きになれない。
アンコールはひときわ明るく元気よく、ドボルザークもビゼーもジョージ・ルーカスの映画の音楽のようだった。(とてもチェコやフランスの音楽には聞こえないが、これはこれで楽しい。)

有力企業のバックアップがあるらしく、また、土曜の夜ということで財界のお歴々の顔を沢山見た。ちょっと異様な雰囲気であった。それはそれで仕方がない(ぎりぎり我慢する)が、終わったあとロビーでレセプションをやるのは、率直に言って一般の有料入場者から見ればいささか不快である。せめて別の場所でやって欲しい。

ウィーン交響楽団(NHK音楽祭2006)
2006年11月9日(木) 19:00開演 NHKホール



今回の最大の聞き所は、上原彩子さんのモーツァルト。例のチャイコフスキーから始まってお得意のラフマニノフまで、どちらかといえば、そういうレパートリーの人だと思っていたから、モーツァルトの22番のコンチェルトをやると聞いて思わずこのチケットを買ってしまった。期待に違わない、素晴らしくきれいな音の演奏だった。鍵盤と鍵盤の間にもう一つ鍵盤があるのではないかと思うくらいのなめらかな演奏には少し驚いた。「古典派」らしいかといわれればちょっと考えるが、情感あふれる魅力的な演奏であることは確かだ。もう少し機転の利くオーケストラとやったらもっとおもしろいと思う。(あるいは、本人が指揮すればいいのかもしれない。ピアニストが指揮者になりたがるのはよく分かる。)

その他の曲も、全体にきちんとした演奏で悪くはないと思うのだが、あらためて、その前に聞いた、ハーディングの指揮振りのすばらしさや、ウィーンフィルのふくよかさに気づかされる。(それと、ト短調は、このオーケストラならクラリネットをいれた方がいいように私は感じるのだが・・・。)

アンコールの「後宮からの逃走」の序曲はのびのびしていてよかった。

ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
2006年11月7日(火) 19:00開演 ミューザ川崎シンフォニーホール



今をときめくニコラウス・アーノンクールとウィーンフィル。悪かろうはずはないのだが。

ミューザ川崎というホールは初めて。ぐるりと座席がステージを取り囲み、「平行」、「対称」とは縁遠い極めて近代的な作り。今回は、少し節約したこともあって、3階席左横(斜め後方)という、今まで経験したことの無い場所。ステージには意外と近いし、指揮者と演奏者のコンタクトの様子が手に取るように分かるとてもおもしろい席だった。

ウィーンフィルの優雅でふくよかな音色、典雅なモーツァルト、ベートーベンの熱気いずれも申し分ないのだが、それでも、ウィーンフィルの音色にしても、アーノンクールの指揮にしても、もう少し霊感溢れていたら思ってしまうのは、この組み合わせに対する聞く側の絶大な期待感の為せるものなのだろう・・・。

前回のアバド、ルツェルンの余韻が残っているからよけいにそう思うのかもしれない。

意外にアンコールの8番のシンフォニーの2楽章がチャーミングでよかったような気がする。肩の力の抜けたウィーンフィルには、誰も敵わない。

ルツェルン・フェスティバル・イン・東京2006
オーケストラ・コンサート T
2006年10月13日(金) 19:00開演 サントリーホール



余り得意ではないマーラー(その中でも特に取っつきにくい6番)中心のプログラム、更にこのチケットの高さ・・・。普通ならきっと買わないチケットだが、今回はセット券と言うことではからずも手にしてしまったものである。とはいえ、次の日本公演があるかどうか分からないアバドと、彼とは強い同盟関係にある手兵のルツェルン祝祭管という願ってもない組み合わせ・・・。何枚ものセットチケットの中で最も重要な演奏会であることも間違いないと思いながらサントリーホールに足を運んだのだが。

結果はといえば、期待をはるかに越える演奏会だった。初めの案内ではプログラムに入っていなかったモーツァルトのコンサートアリアの透明な響きも勿論素晴らしかったが、サントリーホールの舞台には入りきらないのではないかと思われる超大編成のオーケストラから奏でられたマーラーは、大げさに言えばこの世のものとは思えないものであった。複雑な全ての旋律が、必要にして十分、かつ、これ以上ないくらい精妙に奏でられる。指揮者は勿論、演奏者もほとんどは暗譜ではなかったか。人間の力のすばらしさを見せつけるような演奏であった。

演奏が虚空に消えるように終わった後の長い長い静寂。2000人もの人があれほど静かになれるのかというような沈黙。そして割れるような拍手。そしてスタンディングオベーション。

小生は、マーラーの演奏を論じる力は全くないが、それでも、こういう演奏会に生涯で何回も出会えるものではないという思いは強く持った。音楽を精神の世界から論じるのは危険だといつも思うのだが、この演奏会に関しては、音の世界をはるかに越えた力を持っていたと思う。

マーラー・チェンバー・オーケストラ
2006年10月6日(金) 19:00開演 東京オペラシティ コンサートホール



モーツァルト・イヤーらしいプログラム。しかも、指揮者、オーケストラとも現在売り出し中の有望株である。演奏は期待通りの超力演であった。

なかなか一言で感想を述べるのは難しいが、観客をあれだけ熱狂させたのだから大成功だろう。なんといっても、指揮者の、少し間違えば「恣意的」といってもいいくらいのテンポやダイナミックスに一糸乱れずついていくオーケストラは見事としか言いようがない。(お互いの共感あってのことだろう。)意図的に各作品の性格の違いを強調していたのだと思うが、それぞれを見事に演奏しきっていたと思う。ほとんど全てを楽譜通りに繰り返したため、3時間近いコンサートとなった。ときに驚くほど新鮮に聞こえ、ときに生理的には、ちょっとついて行けないような所もあったが、(もし私が指揮者ならあのようには振らないだろうと思う所も大いにあったが、)演奏としてはとても良かったと思う。鳴りやまぬ拍手に対して、アンコールをやらない旨指揮者が(英語で)スピーチするのも、また、終演後の指揮者のサイン会というのも初めてで少し驚いた。(大変な行列ができていた。恥ずかしながら、私たちもそれに加わったのだが・・・。)

折からの低気圧の影響で、大変な荒天であったが、これをものともしない、聴き応えのあるコンサートだったと思う。それと、オペラシティーのこのホールの響きはきれいだとあらためて思った。

千住真理子コンサート<マイ・フェイバリット>
2006年7月16日(日) 14:30開演 サントリーホール



「千住家にストラディヴァリウスが来た日」を読んで、その「運命の楽器」を聴いてみようと思い立って切符を買ったコンサート。気恥ずかしいこともあり、何となくこういう名曲コンサートを敬遠していたが、なかなかよかった。(終演後サイン会があったりする。小生もあの本にサインしてもらえばよかったなと思ってしまった。)

去年聴いた五嶋みどりはグァルネリ、諏訪内晶子はストラディヴァリウスと思うが、なかなか聞き分けるのは難しい。諏訪内さんの音色は、えもいわれぬ怪しさ(変な言い方だが)があったが、千住さんのそれは、ずっと明るくて朗々としたものだった。確かにいいヴァイオリンだと思う。小さな名曲達も勿論よかったが、フランクが一番いいと思った。(元々好きな曲だし。)こういうコンサートを聴くと、小生もいずれもう一度ヴァイオリンを弾いてみたいと思う。

メトロポリタン・オペラ2006(ドン・ジョバンニ)
2006年6月23日(金) 18:30開演 東京文化会館



大評判になった2005年のザルツブルク音楽祭(ヴィオレッタ)とプロムス2004のコンサートの模様をテレビで見てアンナ・ネトレプコに一目(一聴)惚れして(「驚愕して」に近いか)、大枚はたいてメットの日本公演のドンナ・アンナを聴きに行った。

いや、期待に違わぬというか期待をはるかに越える美しい声だった。こうなるともう理屈の外である。「感激」という言葉ではとても足らない。(やはり「驚愕」に近い。)天性とは恐ろしい。(DVDになっている本人のインタビューによれば、全ては「計算づく」ということなのだろうが、そういうものも含めて天性だろう。勿論、その美貌も大変な財産であることは間違いないが。)ドン・ジョバンニを見ると、いつも、強くてひたむきすぎるドンナ・アンナにちょっと「引き気味」になっていたが、彼女のドンナ・アンナには、全くそういう違和感がない。というか、彼女がこのストーリーの主役になってしまう感すらある。「最高のドンナ・アンナ」と称されるのもむべなるかなである。

奇しくも、一昨年の秋、ウィーン国立歌劇場(小沢)の同じ演目を同じ会場で見た。甲乙をつけるなどということはとてもできないが、随分雰囲気が違うものだと感心した。片方が芸術で片方が娯楽だなどと言うと誤解を招くと思うが、メットは「究極の宝塚」という感じがする。ブロードウェイがライバルということではないにしても、一人一人の演技や小道具・舞台装置いずれも「エンターテインメント」としての完成度がとても高い。(レポレロの演技や歌は、本当に面白かった。)例によって、一人6万円という高額の入場料が、全く損をした気がしないというのは実に素晴らしいことだと思う。こういうものを一度聴いたことがあるかないかで随分人生の豊かさが違うような気がするというのは書きすぎだろうか。(今回は前から2番目で条件も良かった。)

それから、今回は「字幕」が大変良かった。(誰が訳したのだろう。)こういうこともとても大切ですね。

ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー
2006年6月9日(金) 19:00開演 サントリーホール



このところドイツのオーケストラを立て続けに聴く。(日曜日のボッシュ交響楽団も含めて)

今をときめく大植さんとその手兵のコンサートであるが、期待通りというか期待以上だった。アンサンブルも緻密で、音色も美しく、これ以上ないというくらいオーソドックスなプログラムを実に外連味なく演じていた。

田園は室内楽風に、運命はよりシンフォニックにという印象を持ったが、暖かいアンサンブルで実に上手く指揮者に応えていたと思う。バイロイトの実績は伊達でないということがよく分かった。(木管のパートが、前半と後半でほとんど入れ替わったのにはちょっとびっくりしたが、どちらも立派なものだった。)
先日のバンベルクと同じ席できいたのだが、如何にバンベルクがひどかったかをあらためて実感。サントリーホールであんなにバラバラに聞こえたのはやはりただごとではない・・・。(ハノーファーもバイオリンは両翼配置で、弦の内声が右、バスは最後方中央に一列という配置だったが、全く違和感はなかった。)

ハノーファーの街は一度訪れたことがある。そのときは戦争の被害が大きかったため「新しくなった街(見本市の街)」という印象だったが、こういう演奏を聴くとその印象は間違っていたのかもしれないと思った。

ボッシュ交響楽団演奏会
2006年6月4日(日) 17:00開演 日比谷公会堂



家内のお友達からのお誘いで。

こういう交響楽団をご存じない方が多いと思うが(私も知りませんでした)、いわずとしれた世界企業Boschの企業内オーケストラである。一企業のアマチュアオーケストラが、海外公演をやってしまうのだから、ドイツの会社は奥が深い。(ピアノのソリストも社員らしい。)
日本の一流アマチュアオーケストラくらいの水準かなと感じたが、ブラームスの交響曲はなかなかのもの。すっかり手の内に入っている感じだ。

日比谷公会堂で初めて音楽を聴いた。かつて、トスカニーニなどがここで演奏をしたと思うと感慨深い。

バンベルク交響楽団演奏会
2006年5月30日(火) 19:00開演 サントリーホール



メインのベートーベンの交響曲7番は、当方の耳がおかしくなったのかと思うほど、バランスが悪くアンサンブルもひどかった。サントリーホールの1階のS席などという晴れがましい席で聞くのは久しぶりな上に、余り聴く機会のないバイオリンの両翼配置のせいもあるかもしれないが、それにしても、特にブラス(金管)セクションは「下手くそ」と言ってもいいのではないかと思ったくらいだ。
最初の武満やアンコールのリゲティーはまずまずと感じた(できばえを判断できるほど曲を知らない)が、「未完成」も含め、プログラム本体の演奏には全く納得いかなかった。(本家ドイツ風を期待していたのに。)
去年の秋、同じ7番をヤンソンス、バイエルン放送響で聞いたがとても同じ曲とは思えない。体調も決して万全とは言えなかったが、それにしても・・・である。

指揮者も、えらく作為的で音楽を聴いているのか指揮者の解釈を聞かされているのかよく分からない。(あれほどメロディーラインが渋滞したり転んだりすれば、解釈にもなっていないと思うが。)

もう2度とこの指揮者は聞きたくない。

「熱狂の日」音楽祭2006(La Folle Journee)〜モーツァルトと仲間たち〜
2006年5月6日(土) 東京国際フォーラム



話題の音楽会から、最終日の5つの公演を聴いた。

こう書くと主催者からお叱りを賜るかもしれないが、予想よりはるかに充実していたと思う。適度なお祭り気分と、驚くほど密度の濃いプログラムと、きちんとした演奏。そして、何より、たくさん集まった人たちがゆとりを持って音楽を聴いていたこと。当たり前のことかもしれないが、お祭りに偏りすぎてもおらず、かといって、まじめすぎると言うほどでもなく、皆が音楽を楽しむという大人の雰囲気がとても良かったと思う。(子供入場可というコンサートもあり、ちょっと心配したが、それは全く杞憂だった。)本当に音楽を日常のものとしている人たちが集まったという感じだった。(日本にも、たくさんの音楽好きがいることをあらためて感じた。これはとても心強い。それにしても、モーツァルトは人気があるのだなあとあらためて思う。)

半日(14:30〜23:00)で5つのプログラムというのはさすがに少しきつい。来年また来るとしたら、もう少しゆったりしたスケジュールにしたいものである。

聴いた5つのコンサートは、どれも水準以上だったと思うが、印象に残ったのは、まず、「ケルン室内合唱団」の澄み切ったハーモニー。まるで少年合唱団のように聞こえた。それから、5つのうち、3つまでで聴いた(そう選んだわけではなかったが、たまたまそうなってしまった)「シンフォニア・ヴァルソヴィア」のバランスのとれたアンサンブル。3人の指揮者で、それぞれ違う味を出していたので、きっと指揮者にもよく反応するのだろう。そして、最後に聴いたポール・メイエのメリハリの利いた明るいクラリネット。(この人のクラリネットは、去年のKSTのコンサートでも聴いた。)

滅多に聴くことのできない曲もたくさん演奏されていたので、もう1日来ても良かったかなと思った。来年の趣向は知らないが、こういう催し物が定着するといいなと思う。

「中島みゆき 夜会VOL.14 24時着 00時発」
2006年2月8日(水) 20:00開演 青山劇場



感動しました。

プラチナチケットなので、今まで何回申し込んでもダメだったのが、やっと今回とれて念願の「初夜会」。
聞きしに勝る大迫力に心から感動。声の力のすさまじさをつくづく実感。勿論、オペラ歌手の声の力もすごいが、なんといっても、彼女の歌は、ほとんどが全てが強い「メッセージ・ソング」であり、更にそれを自作自演するわけだから、他の人では敵うわけが無い。
タイトルで「0」が一つの方(2004年版)のDVDを持っているので、大体の様子は事前に分かっていたが、この変幻自在の声の力は現場で聴いてみなければ全く解らない。中島みゆきさんは本当にすごい人です。

今までに、彼女のCDは全て聴き、何回かコンサートも聴いたことがあるけれど、夜会の迫力は桁違い。絶対次も見なければという気になるから、ますます、チケットが取りにくくなるのはよく分かる。とは言っても、是非次回も聴きたい。(今年は大阪公演があるので、大阪へ行こうかとも思ったくらいだ。)

とにかく、歌の力というのは本当に強いもので、これを悪用されたらひとたまりもないなと思うほどでした。

紀尾井シンフォニエッタ東京 第53回定期演奏会
2006年1月28日(土) 15:00開演 紀尾井ホール



モーツアルトイヤーの幕開きにふさわしい極めつけのプログラム。

レクイエムのラクリモーサは自筆譜の残るところまでで終わってそのままバッハへ。ラクリモーサ以降は、CDを聴くときも飛ばしているので、これでも構わないが、それにしてもこういうのは初めてだ(ラクリモーサは始まってすぐおしまい−確か8小節?)。こういうやり方が普通に行われているのだろうか。(聴いてみれば、全然違和感はなかったが。)

こういうコンサートが1回2,400円(シーズンメンバーで一番後ろの席なので)で聴けるのは素晴らしいと思う。余りメンバーの空席は無いようだが、毎年の席替えでだんだん良い席になるので、たくさんの方にメンバーになっていただけたらいいと思います。

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