アンの愛情の言葉 第43回

聖書に「黙示録」があるように、すべての人の生涯に天啓の書がある。何時間も大嵐が吹き荒れる暗闇のなか、苦悩に苛(さいな)まれて一睡もしなかったあの辛い夜、アンは天の啓示を受けた。自分はギルバートを愛していた、今までずっと愛していたのだ!

There is a book of Revelation in every one's life, as there is in the Bible. Anne read hers that bitter night, as she kept her agonized vigil through the hours of storm and darkness. She loved Gilbert -- had always loved him!

モンゴメリ作『アンの愛情』 第40章より
"Anne of the Island" by L.M.Montgomery

冬の気配とともに、街はクリスマスの飾りで華やいできました。都内では紅葉もきれいです。
そんな今日このごろ、いかがおすごしでいらっしゃいますか?
シリーズ第3巻『アンの愛情』で、大学生のアンは、幼なじみのギルバートの求婚を断り、友だちにしかなれないと告げます。
ところが物語の結末で、ギルバートが病気で危篤になります。
彼はもう助からないかもしれないと知った晩、アンは、苦しみと後悔にまんじりともせずに朝を迎えながら、ギルバートを愛していたことに初めて気がつくのです。

モンゴメリは書いています。
「聖書に黙示録があるように、すべての人の人生に天啓の書がある」と。
「黙示」とは、天からのお告げ、神の啓示、つまり天啓を意味しています。
誰の人生においても、何かのきっかけで、はっと、雷に打たれたように、それまで気がつかなかった自分の人生における重大な真実を、悟ることがあります。
『赤毛のアン』でも、マリラが、天啓を受ける場面があります。(第23章)
アンが、ダイアナの父バリー氏に抱きかかえられ、ぐったりして運ばれてくるのを見た時、マリラは、我を忘れて駆け出します。(次へ)
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