アンの愛情の言葉 第38回

アンとプリシラは、公園を散策していた。四月の気持ちのいい日、そよ風が吹き、空は青かった。港は真珠色のもやにおおわれ、海面はミルクの乳皮をはったように、ちらちら光っていた。

すがすがしく、ひんやりした空気には、松やに(バルサム)の香り(アロマ)が、かすかに漂っていた。高い空は、水晶(クリスタル)のように澄んで青く、まるで、祝福の大きな杯(さかずき)を、逆さに伏せたようだった。

as they rambled through the park on one of April's darling days of breeze and blue, when the harbor was creaming and shimmering beneath the pearl-hued mists floating over it.

The fresh chill air was faintly charged with the aroma of pine balsam, and the sky above was crystal clear and blue -- a great inverted cup of blessing.

モンゴメリ作『アンの愛情』第9章より "Anne of the Island" by L.M.Montgomery

いよいよ4月になりました。新年度のスタートですね!
ご入学、ご就職のみなさま、おめでとうございます。
今日のことばは、『アンの愛情』で、大学生のアンと同級生のプリシラが、4月、カナダ本土の港町キングスポートで、海岸沿いの公園を散策する場面です。
カナダの4月は肌寒い日もありますが、それでもアンは、春の息吹を全身で感じとっています。空の青さ、そよ風の優しさ、海の光の柔らかさ、そして樹木の香りに……。
私も犬をつれて散歩していると、ひんやりした空気のなかにも、木々から若葉が出ていく青い匂い、湿った土のいい匂いがして、春を感じます。
モンゴメリの風景描写はすべて好きですが、春の描写も、透明感があって、さわやかです。

実は、『アンの愛情』で、アンがよく散歩に出かけるこの海岸公園は、物語の舞台「キングスポート」のモデルとなったノヴァスコシア州ハリファクスに、実在しています。(次へ)
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