AKI-H8/3069F実験レポート



往年の名機Z80に次いで有名な組込CPUである日立(現ルネサス)H8を
使ったAKI-H8/3069F-LANは、アマチュアや組込技術者の登竜門として
隠れたヒット商品である。                      
何より価格が安く(KITは3,400円)液晶表示器や専用インターフェイ
スボード及び電源なども合わせて安価に販売されている。       
基本のKITだけでもH8/3069Fの内臓機能に加え、SRAMはもちろんの事 
、RS-232CやLANインターフェイス、取り外し可能なI2C(EEPROM)ソ 
ケットも内臓され工夫次第では、殆どのマイコン制御に使用できる。
もうひとつ大きなメリットがある、それはこのKITが入門用無償組込 
OSであるMES(三岩氏作成)の原点であった事である。       
残念ながら、MESは2.0でこのKITのサポートを終了しているが、販売 
元の秋月電子では、MES2.0を含めたKITも安価に販売している。なお 
このKITは、OSの標準I/Oとなっている、前述のインターフェイスボー
ド、液晶表示器を含んでおり良心的である。             
この実験レポートは、MESがサポートを行っている時点のもので、周 
辺回路も、筆者の自作であるが、I/OはMES2.0の標準I/Oに合わせてで
きるだけ簡単に作成している。このKITに無いSDカードインターフェ 
イスを追加している。                                          

実験回路図


回路図

液晶表示器は、秋月電子で販売されているSC1602です、OSによりデータは4Bitlongモードに設定され ます。従ってDB0〜DB3は使いませんのでGNDに接続します、またR/Wは書き込みのみなのでこれもGNDに つなぎます。CA(ContrastADJ.)は液晶の表示濃度で、1KのVRに繋ぎます、最初は故障と勘違いしない ように、ほぼ中央値に設定しましょう。LEDはP40番ポートのLCDで使っていない上位2bitに接続されま す。(KITに合わせました)
回路図右上の三端子レギュレータはSDカードで使用する3.3Vを5Vから作っています、もちろんSDインタ ーフェイスのICである74LCX14にも供給されます、LED表示に使っている7404は5Vで使います。H8のポー トに直接繋いでも光りますが電流が取れないので暗いため7404を介しています。
簡単な温度計を作成するので、温度センサIC LM35DZを使いその出力を、A/Dの1ch入力に接続します、 このICの出力は0℃〜100℃で0V〜1Vとなります。また、A/Dのテストと温度計の調整用に可変抵抗から 0〜5VをA/Dの0chに入力します。従ってH8のVrefは5Vとなり、JP2とJP3はショートとし5Vに接続します。 SDカードの接続もOSがシリアルインターフェイスをサポートしているので、そのままH8のシリアル出力 に繋ぎます、ただしSDカードは3.3Vが基本のためH8の5V出力は電圧のレベル変換が必要です。74LCXの ICは3.3Vで動作時、入力が5Vでも動作可能なのでこれを使います。逆に3.3V動作のSDカードデータ出力 はそのままH8に入力します。

実験のセット全体

実験セット全体 上部がAKI-3069Fの組み立て済み基板です。 Kit基板のCN2に直接実験I/F基板を取り付けます、CN1はソケットの必要なPINから配線で繋いでいます。 液晶表示器は実験I/F基板上にソケットを取り付け、接続します。

AKI-3069F-LANの弱点

このKITは以前から”LANがいつの間にか壊れる”とか、電源を入れたらLANが動作しない等のトラブル が時々報告されています。この原因は、LANコントローラであるRTL8019(通称カニチップ)のアナログ 部分の電源耐圧が非常に弱い点にあります。ただ弱いのではなく、時間的に弱いのです。つまり、瞬間 的(数ミリセカンド)に定格を超えた電源電圧をかけると、LANコントローラの入出力部分に入っている アナログアンプ部分が破壊してしまうのです。したがって、電源にサージが乗っている場合や、出来の 良くない電源、特に可変電源などで電源投入時の過渡電圧ノイズや電源切断時の過渡電圧などで故障す るのです。いろいろな電源装置の投入電圧を調べてみると、結構異常電圧が出ているものが多いです。 秋月電子のこのKIT用電源も若干投入ノイズが出るものがありますが非常にわずかな電圧なので問題あり ませんでした。 自分の電源に自身の無い方は電源に5Vの3端子レギュレータを入れるなど対策をお勧めします。 当然このチップを使っていて電源に対策されていない他の製品も同じ故障が発生します、カニチップには 注意が必要です

実験I/F基板の詳細

実験基板
実験I/F基板です。SDカードのインターフェイス(I/F)に使われている74LCX14はPinピッチの狭いフラット パケージのため、通常の実験基板には直接取り付けできません、秋葉原の秋月電子の近くにある千石電商 などで販売されているフラットPKG用のソケットを利用してとりつけました。 LEDドライバに使っている74AC14は手持ちのものを使っただけです、7404などでも当然問題ありません。 C-MOSICは入力を電源かGNDに繋いで置きます。LM35DZやSDカードのソケットも秋月電子で販売されていま した。そのほかの部品も手持ちの部品を流用しました。また丸で囲んだJPは未使用です無視してください。

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