『オペレーション・アームピット』
――――クレアは、なぜ今自分が軍服を着た女性たちに囲まれているのか分からなかった。
クレアは全裸で水浴びをしている最中に、軍服の女性たちと遭遇した。その軍服を着た女性たちは、人の通り道になっていないジャングルの密林から突然現われ、彼女に気がつくと、ゲリラとかなんとか彼女自身には全く訳の分からないことを言って彼女を捕まえ、拘束してしまった。
軍服の女性たちは6人で、男性はいなかった。彼女たちは、拘束されたクレアを横目に、彼女をどう扱うかについて話し合っている様子だった。 「――……だが、あの村の情報を持っていることがほぼ確実である以上、見逃してやる理由はない」
「……そうね」
隊長と呼ばれていた女性は、軽くウェーブがかった艶やかな長い黒髪と黒い瞳、さらに同性のクレアが息をのむほどに素晴らしいボディラインをしていた。
「あなたの名前は?」
「ごめんなさい、ミス・クレア。あたしたちは、あなたが村からここまで来た道のことを教えてほしいの。素直に話してくれると助かるんだけど……ダメかしら?」
「……だめよ……それは言っちゃいけないことだもん……」
その返答を予想していたのだろう、美しいリーダーはぞくりとする微笑を浮かべて繰り返した。
クレアは何かひやりとするものを感じたような気がしたが、拒否するしかなかった。思わず、まとわりつくものを振りほどくように強い口調で答える。
「そう……それじゃ、仕方ないけどあれをやるしかないわね」
「やっぱりね。そうなると思ってたのよ」
チャイナ系の小柄な女性が返答したかと思うと瞬く間に、クレアは幼い手足を木の幹にバンザイする格好で縛り付けられた。
「じゃ、最初はリンからいく?」隊員の一人がラフな口調で隊長に問い掛けた。
「何って、尋問に決まってるよな」
口々に迫り来る女性兵士たちの声に恐慌を起こし、目をギュッとつぶってしまったクレアは、次の瞬間、身体を襲った感覚にその裸身を弾かせ、目を大きく見開いた。 「うふふ、あーっははは!!!くくく、あはははっはははっはああぁぁ!!!!!」
その「尋問」はくすぐり尋問だった。
「白状するあるか?」
最初の問いを聞く間もなく、完全に屈服していたクレアであったが、肯定の意思を表したくとも、猛烈なくすぐったさに笑い声しか出せず、首を必死で縦に振った。
「早く言えよ」
「あははははは!!!!!あはっ、…はははっ、ぁあははははははははっっ!!!!!やめ!!ゆうっ!!ゆ!!あははははっ、……からっぁぁぁあああああ!!!!」 「まだ降参しない?結構がんばるねぇ♪」
バンザイの状態で手首から吊り下げられて無防備な少女の身体の上を、6人の女性兵士たちの意外なほどにしなやかな指が縦横無尽に踊りまわり、可哀想なクレアの口から狂ったような笑い声と、途切れ途切れの懇願と、涎の糸をとどまることなく紡ぎだす。
「ん……もぅ、みんなイジワルなんだから。壊しちゃったら元も子もないのよ?」
手を抜いていると言ったチャイナ系の彼女であったが、ちょっと退屈そうな顔で何気なく動かしている彼女の10本の指がクレアの肌の上を滑るたびに、少女は身体をビクビクと跳ね上げて笑い狂った。
「あははははは!!あーっはははっ、はははは!!!」
必死の懇願にもかかわらず、クレアは残酷な60本もの指に身体中の感じやすい場所を責められて、何も考えることができなくなるくらいに笑わされた。
「あひゃっ、あひひぃっ、んっははははっ!」
無慈悲なくすぐりの練達たちは、それから1時間以上に渡ってクレアをくすぐり続けたのだった。
激しいくすぐりに精魂尽き果てるまで笑わされ、その感覚を身体に刻み込まれたクレアは、その後で改めて始まった尋問で、身体を指でなぞられるだけで嬌声に近い悲鳴を上げ、彼女が知っていることをすべて語ったのだった。
――某国政府の強行した麻薬撲滅作戦に対し、テロ行為で報復を重ねていた麻薬王の持つ農場の8割が同時に壊滅したのは、その数時間後のことであった。 (了) 2000.11.11
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