東京高判平成13年3月15日(平成10年(行ケ)第180号)

1.事案の概要
 X(原告)は,イギリス国においてした2つの特許出願(1980年6月20日に出願の英国特許出願第8020160号(本件第1優先出願)及び1980年7月16日に出願の英国特許出願第8023151号(本件第2優先出願)に基づく優先権を主張して昭和56年(1981年)6月22日に国際出願された昭和56年特許願第502035号の特許出願(原出願)の一部を分割して,平成元年12月27日,名称を「イムノアッセイ法並びに該方法に用いる材料及び装置」(後に「イムノアッセイ方法及び該方法に用いる材料」と補正。その後更に「イムノアッセイ方法」と補正。)とする発明(本願発明)につき特許出願をしたが(平成元年特許願第339898号),平成3年8月15日拒絶査定を受けたので,平成3年12月13日審判請求をした(平成3年審判第24001号。)。
 同審判事件については,平成6年4月15日に「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(第1次審決)があったので,Xは,第1次審決の取消訴訟を提起し,平成6年(行ケ)第206号事件として審理され(第1次取消訴訟),平成9年7月3日に上記審決を取り消す旨の判決(第1次取消判決)があり,同判決は確定した。
 そこで特許庁は上記審判事件につき更に審理した結果,平成10年5月15日,本件出願日は,パリ条約による優先権の利益を享受することができず,1981年6月22日であり,本願発明と特願昭56-62340号(先願)の願書に最初に添付した明細書(先願明細書)に記載の発明とは同一であり,先願明細書記載の発明の優先日は,1980年8月4日であるから,本願発明は特許法29条の2の規定により特許を受けることができない。」として,再度「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(本件審決)をした。
 X出訴。
 本願発明の要旨(平成5年7月12日付け手続補正書の特許請求の範囲第1項に記載の事項)は,次のとおりである。
  「試験物質を含むであろう検定試料(a),固体支持体上に固定された,試験物質に特異的な非標識結合相手(b)および試験物質に特異的な標識結合相手(c)のすべてを単一インキュベーションステップのために反応混合物中に含むイムノアッセイを実施する方法において,試験物質と試薬(b)および(c)との結合反応間の競合的干渉を,同一試験抗原に対してせまくかつ異なる非干渉特異性の2種のモノクローナル抗体を成分(b)および(c)に使用することにより回避することを特徴とする,前記方法。」
 なお,以下,本件第1優先出願及び本件第2優先出願の明細書を,それぞれ「本願第1優先明細書」,「本願第2優先明細書」と,原出願の出願当初の明細書を「原出願当初明細書」と,スイス特許出願3209/80-2の出願明細書を「先願第1優先明細書」と,スイス特許出願5898/80-6のそれを「先願第2優先明細書」と表記する。

2.争点
 本願第1優先明細書及び図面並びに本願第2優先明細書及び図面に記載されていない実施例を,本件特許請求の範囲第1項に記載の発明が包含する場合,本件出願は,本件第1優先出願及び本件第2優先出願に基づく優先権を主張することはできないとされた事例。

3.判決
 請求棄却。

4.判断
「第5 当裁判所の判断
  1 本願発明の具体化
    (1)甲第2号証の1ないし3によれば,本願明細書の発明の詳細な説明に以下の記載のあることが認められる。
      「次のものから本質的になる市販試験キットが入手できる:
        (a)場合に応じて抗体または抗原で被覆された管または予かじめ形づくられたくぼみの列からなるプレート。
        (b)試験試料中に存在するかもしれない検出すべき物質に対する適切な抗体に結合した酵素(いわゆるコンジュゲート)。
        (c)酵素活性の測定のための基質。
       抗原または抗体の検定を行なうための一つの標準法は下記のものを含む:
        (1)試験試料に対し使用希釈を決定する,
        (2)くぼみを感作するために用いた抗体または抗原の過剰分を除去する,
        (3)くぼみを洗浄する,
        (4)ある割合の適当に希釈した試験試料を導入する,
        (5)約2時間インキュベートして試験試料中の検出すべき物質を感作物質に結合させる,
        (6)くぼみを洗浄して未反応物質を除去する,
        (7)適当に希釈したコンジュゲートを導入する(約2時間インキュベーションする),
        (8)くぼみを洗浄して未反応物質を除去する,
        (9)基質の溶液を加える,
        (10)基質と酵素との反応の結果として適当な強度の色が現われるまでインキュベーションする,
        (11)反応を,例えば強アルカリで止める,
        (12)反応した基質溶液の光学密度を測定する。
       この手順は幾つかの抗体/抗原反応の各々が反応平衡まで数時間を要するので時間消費でもある。実際上はより短いインキュベーション時間が用いられるが,感度および(または)経済性を犠牲にしてはじめてなしうることである。
       本研究の結果によれば,より少ない検定段階の使用に対する障害は成分の二つの間の防害反応から生ずる望む固定複合体の形成による望まない干渉であると考えられる。選ばれたせまい特異性の,あるいは緩徐放出形の特異的結合材の使用によりこのような干渉を回避でき,そしてより少ない処理段階を用いて高感度の検定を行なうことができる。
       本発明によると,試験物質を多分含有する検定下におかれた試料(a)を固体支持体上に固定された試験物質に対する特異的結合相手(b)とまた検出可能なマーカーに抱合された試験物質に対し特異的な結合相手(c)と反応させることにより,存在する試験物質の量と試薬(b)および(c)との間の反応によりマーカーが試験物質を介して支持体に固定された複合体を形成させ,そしてマーカーが試料(a)中に存在する試験物質の何れかの量の指数として検出または検定される特異的な結合検定(例えば,イムノアッセイ)を実施する方法が提供されるが,その特徴とするところは反応成分(a),(b)および(c)すべてを単一反応液中で反応に対し単一段階で混合し,試験物質と試薬(b)および(c)との結合反応間の競合干渉をせまい特異性の抗体,例えばモノクローン抗体の使用により干渉を避けるか,あるいは緩徐放出形の試薬(c)の使用により回避することにある。」(公開特許公報3頁左下欄11行ないし4頁左下欄1行及び平成3年5月13日付け手続補正書の「補正の内容」の(3))
    (2)この記載によれば,発明の詳細な説明に,本願発明の概要として,次の記載があるものと理解することができる。
      標準法では,検定に要する時間が長く,また,これを短くするためにはインキュベーション(標準法における(5)及び(7)の工程,参照)の時間を短くすればよいが,これでは十分にインキュベーションができず,検定精度の点で望ましいものではなかった。
      そして,この問題を解決するためには,
        「試験物質を多分含有する検定下におかれた試料(a)」(標準法における「試験試料」に対応),
        「試験物質に対する特異的結合相手(b)」(標準法における「くぼみを感作するために用いた抗体または抗原」に対応),及び,
        「試験物質に対する特異的結合相手であってマーカー(酵素に代表されるもの)に抱合されたもの(c)」(標準法における「コンジュゲート」に対応)
のすべてを同時に混在させ単一反応液中で反応させれば検定に要する時間を短くすることができる(標準法における(5)ないし(7)の工程を,一工程とすることができる)が,このように反応させると,上記(b)と(c)とが互いにそれぞれの試験物質への結合に干渉し合うことがあり,試料(a)中の試験物質の量(数)に対応して形成されるべき,上記(a),(b)及び(c)が結合したものが,その量(数)に対応して形成されないこととなり,その結果,この結合したものの数を実質的に計数すること(標準法における(12)の工程参照)により,間接的に,試料(a)中の試験物質の量(数)を計量(計数)するという検定の基本的な原理を果たせなくなるという欠点がある。
      そこで,本願発明はその解決手段として,上記(b)及び(c)を互いの試験物質への結合に干渉し合わないようなモノクローン抗体を採用したイムノアッセイとする発明を完成したものである。なお,同じく解決手段として,上記(c)を緩徐放出形とする方法を採用することもできる。
    (3)甲第2号証の1ないし3によれば,本願明細書の発明の詳細な説明に,更に以下の記載のあることが認められる。
      「例1
          ・・・
        感作した(大豆タンパク質結合)排除体を用いるイムノアッセイ 家兎抗血清および羊抗家兎/酵素抱合体をPBST中に適当に希釈し,次に下記の操作順序に従う。
          1.希釈抗血清をくぼみに置き,次に直ちに感作排除体ペグを置く。
          2.排除体ペグ+くぼみ(・・・)+試料を封じた容器に入れ,37℃で約90分間インキュベーションする。かきまぜはこのインキュベーション時間の約半分が経過した後ではじめて行なう。
          3.排除体ペグを取り除き,水道の流水下で次にPBSTで洗浄する。
          4.洗浄した排除体ペグを酵素のための基質(・・・)を含むくぼみに入れる。
          5.排除体ペグ+くぼみ+基質を封じた容器内に入れ,37℃で約45分間インキュベーションする。
          6.排除体ペグを取り除き,基質試料の光学密度を測定する。」(公開特許公報10頁右上欄下から2行及び12頁右上欄11行ないし左下欄下から5行)
      「例3
        K型免疫グロブリンGに特異的な検定およびそのための材料の調製は次のように行なわれる。
        第3図に示した形のナイロン66から成形されたペグをアルコールおよび蒸留水で洗う。マウスモノクローン抗−(ヒトK−鎖)抗体を,他のタンパク質および洗浄剤を除去したpH8の0.01M水性リン酸塩緩衝液中抗体の20μg/ml溶液に,ペグを室温で数時間または一晩さらすことによりペグに固定する。K鎖に対するモノクローン抗体の調製物(そしてまたγ−鎖に向けられた下で用いた抗体の調製物)は,例えばヒトIgGに抱合されたアフィゲル(Affigel)(Biorad商標)のカラム上親和力クロマトグラフィーにより,それ以外は例1または2と同じ方法で,対応する腹水液から誘導される。(約10mgIgGをゲルmlの抱合に用い,少なくとも2mlゲルを腹水液1mlのクロマトグラフィーに用いる)。
        マウスモノクローン(ヒトγ−鎖)抗体を例1におけるようにアルカリ性ホスファターゼで抱合し検定における他の特異的結合試薬をつくる。
        次に,例1または2の一般手順をこれら材料と共に用いる」(公開特許公報13頁左上欄5行ないし右上欄10行)
    (4)これらによれば,本願明細書の発明の詳細な説明には,例3において,K型免疫グロブリンGを検定するための材料として,マウスモノクローン抗−(ヒトK−鎖)抗体をペグ上に固定されたもの及びマウスモノクローン(ヒトγ−鎖)抗体であってアルカリ性ホスファターゼに抱合されたものを調整すること,並びに,これら材料を例1に示される一般手順に適用し得ることが記載されているものと認めることができる。
    (5)前記(2)で説示したとおりの本願発明の概要からすると,例3において示される2種のモノクローン抗体が,互いのK型免疫グロブリンGへの結合に干渉し合わないようなものであることは明らかである。また,同じく本願発明の概要からして,これらを用いてイムノアッセイを実施するに際して,これらを同時に混在させ単一反応液中でK型免疫グロブリンGと反応させること(例1の一般手順における単一反応液中の操作順序2で行われるインキュベーションステップ)により検定に要する時間を短くすることができるという効果を奏し得ることも明らかである。
      してみると,例3は,K型免疫グロブリンGを含むであろう検定用試料(A),ペグ上に固定された,K型免疫グロブリンGに特異的な非標識結合相手(B)及びK型免疫グロブリンGに特異的な標識結合相手(C)のすべてを単一インキュベーションステップのために反応混合物中に含むイムノアッセイを実施する方法において,K型免疫グロブリンGと上記(B)及び(C)との結合反応間の競合的干渉を,同一K型免疫グロブリンGに対してせまくかつ異なる非干渉特異性の2種のモノクローナル抗体,すなわち,マウスモノクローン抗−(ヒトK−鎖)抗体とマウスモノクローン(ヒトγ−鎖)抗体とを上記(B)及び(C)に使用することにより回避する方法に属するものであって,これによって初めて,特許請求の範囲第1項に記載の発明が具体化されたものと認めるべきである。
      甲第2号証の1ないし3によれば,本願明細書には,例3以外に特許請求の範囲第1項記載の発明が具体化された点についての記載は他にないものと認められる。
  2 本願第1優先明細書等の記載
    甲第5号証及び第7号証によれば,本願第1優先明細書及び図面並びに本願第2優先明細書及び図面には,上記1で説示した本願明細書の例3の技術内容の記載はないことが認められる。
  3 優先権の主張の可否
    そうすると,本願第1優先明細書及び図面並びに本願第2優先明細書及び図面には,例3を具体的内容として有する本件特許請求の範囲第1項に記載の発明は記載されていなかったものであり,本件出願は,本件第1優先出願及び本件第2優先出願に基づく優先権を主張することはできないというべきである。
    Xは,【H】教授の供述書(甲第8号証)を援用して,本願第1優先明細書等の記載からみれば,ここにワンポット法サンドイッチイムノアッセイにおいて2種の異なるモノクロ−ナル抗体を使用する技術思想が記載されている旨主張する。
    しかしながら,甲第8号証の供述記載によっても,本願明細書に記載の例3が本願第1優先明細書等に記載されているとの根拠があるとは認められず,これを根拠とするXの主張は理由がない。
  4 本件審決の当否
    (1)第1次審決は,本件出願がイギリス国においてした本件第1優先出願及び本件第2優先出願に基づく優先権を主張してされたものであることを認定した上,先願明細書に記載の事項を認定し,本願発明が先願明細書(願書に最初に添付した明細書)に記載された発明と同一であると認定した。そして,Xの主張,すなわち,先願の優先権主張の基礎となった先願第1優先明細書には,2種のモノクローナル抗体を使用することが記載されていないので,先願明細書に記載の発明のうちで2種の異なるモノクローナル抗体を使用するものの優先権主張日は1980年8月4日であり,本件優先権主張日である同年6月20日及び7月16日よりも後であるとするXの主張に対し,先願第1優先明細書には2種の異なるモノクローナル抗体を使用することが記載されていると認定し,Xのこの主張を失当であるとした(甲第6号証)。
      これに対し,第1次取消判決は,本願発明が,上記のようなイギリス国においてした2つの特許出願に基づく優先権を主張してされたものであることを当事者間に争いのない事実とした上,「先願の2種の異なるモノクローナル抗体を使用するものの優先権主張日が本件優先権主張日に優先すると誤って判断した違法がある」とのX主張の審決取消事由につき,「2種の異なるモノクローナル抗体を使用することが先願第1優先明細書に記載されているとは認めることはできないから,先願明細書記載の発明のうちで,2種のモノクロナール抗体を使用するものの優先権主張日は,1980年4月25日ではなく,同年8月4日であり,これは本件優先権主張日よりも後であることとなるから,X主張の取消事由は,その余の点について判断するまでもなく,理由がある。」と判断した(甲第4号証)。
    (2)本件審決は,第1次取消判決の判示事項5【判決の観点】として,
      「 以上のことからすれば,2つの異なるモノクローナル抗体をワンポット法サンドイチイムノアッセイに用いるためには,前記(a),(b)の技術常識等に基づき,『2つの異なるモノクローナル抗体』の利用可能性を検証する必要があることは明らかであり,この検証が行われていない限りにおいては,上記2つの異なるモノクローナル抗体をワンポット法サンドイッチイムノアッセイに使用できる抗体ということはできないと認められる。」
との第1次取消判決の説示を取り上げ,本願優先権主張日を,この判決の観点から検討するとし,本願第1優先明細書等及び本願第2優先明細書等には,2つの異なるモノクローナル抗体を「ワンポット法サンドイッチイムノアッセイ」に用いるための利用可能性の検証が行われたことを明らかとする記載がないから,これらには,「2種の異なるモノクローナル抗体をワンポット法サンドイッチイムノアッセ
イに使用するという技術思想」が記載されていないと認定し,この認定に基づき,本件出願はパリ条約による優先権の利益を享受することができないと判断した。
      そして本件審決は,本願発明の実施例に該当するものが原出願当初明細書の例3に記載されている(したがって,本件出願日は原出願の国際出願日である昭和56年(1981年6月22日までは遡及する)が,本願第1優先明細書等及び本願第2優先明細書等には例3が記載されていないと認定している。
    (3)そこで,本件審決の当否について検討するに,本件審決は,前記の【判決の観点】に審決取消判決の拘束力があるものとして判断を進めているが,審決が【判決の観点】として指摘する第1次取消判決中の認定,判断部分は,先願の優先権主張日の当否を判断するに際し,先願第1優先明細書の記載事項についての認定を導くための説示にすぎず,本願優先権主張日を認定するに際して,この説示が拘束力を持つものではない。したがって,本件審決には,第1次取消判決の拘束力についての誤解があったといわなければならない。そして,本件審決は,本願優先権主張日の認定を,前記【判決の観点】における説示を前提にして検討を進めているが,【判決の観点】における(a),(b)の技術常識は,第1次取消判決では先願第1優先権主張日当時のものとして認定されたものであって,これが本願第1優先権主張日及び本願第2優先権主張日における技術常識なのかどうかについての吟味のないままに前記の判断に至っている。
    (4)しかしながら,本件審決は,本願第1優先明細書等及び本願第2優先明細書等には,2つの異なるモノクローナル抗体をワンポット法サンドイッチイムノアッセイに用いるための利用可能性の検証が行われたことを明らかとする記載がないとの判断に至り,本件出願はパリ条約による優先権の利益を享受することができないと結論づけたものであり,前記3で判示したところに従えば,この審決の結論自体は正当なものとして支持することができる。本件審決には,前記のように第1次取消判決の拘束力について誤解した部分があるが,この誤解は,審決の結論に影響を及ぼすものではなく,第1次取消判決の拘束力の範囲の解釈の誤りをいうXの取消事由は理由がない。
    (5)甲第4号証によれば,第1次取消判決は,「先願発明のうちで2種のモノクローナル抗体を使用するものの優先日は,1980年4月25日ではなく,同年8月4日であり,これは本願の優先日よりも後のこととなるから,X主張の取消事由は,その余の点について判断するまでもなく,理由がある。」と説示し(理由2(7)),その説示だけからすると,本願発明の優先権主張が認められることを前提としているかのようであるが,本願発明の優先権主張が認められるか否かは,第1次審決で判断するところではなく,また,第1次審決は,先願明細書記載の発明の優先権主張が認められることをもって,本件審判請求を成り立たないものとしたものであるから(甲第6号証),本願発明の優先権主張の可否の点は,第1次審決が結論を導くのに必要な事項ではなく,したがって,第1次取消訴訟においても判断しなかったものと理解すべきである。
      したがって,第1次取消判決が,本願発明の優先権主張の認められることを前提としていたとするXの主張も採用することができない。
    (6)よって,X主張の審決取消事由はすべて理由がない。
第6 結論
  以上のとおりであり,Xの請求は棄却されるべきである。」