最判昭和53年3月28日(集民123号331頁(昭和49年(行ツ)第2号))

(原審:東京高判昭和48年6月29日(昭和36年(行ナ)第134号))

<判決>
 上告棄却。
「上告代理人水田耕一,同ローランド・ゾンデルホフ,同牧野良三,同小田島平吉の上告理由第一点について
 旧特許法(大正10年法律第96号。以下「法」という。)の定める特許出願分割の制度の趣旨にかんがみると,法9条1項の規定により原出願から分割された新たな出願が同項の規定により原出願の時においてこれをしたものとみなされるためには,分割された出願にかかる発明につき,原出願の願書に添付した当初の明細書に,右発明の要旨とする技術的事項のすべてが,その発明の属する技術分野における通常の技術的知識を有する者においてこれを正確に理解し,かつ,容易に実施することができる程度に,記載されている場合でなければならないと解するのが,相当である。右と同趣旨の原審の判断は正当であつて,原判決に所論の違法はない。論旨は,採用することができない。
 同第二点ないし第四点について
 所論の点に関する原審の認定判断は,原判決挙示の証拠関係に照らし,正当として是認することができ,その過程に所論の違法はない。論旨は,いずれも採用することができない。
 よつて,行政事件訴訟法7条,民訴法401条95条89条に従い,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。」