最判昭和52年10月25日(集民122号135頁(昭和51年(オ)第1323号))

<判決>
 上告棄却。
「上告代理人米田宏己,同薄木昌信の上告人A1商工協同組合関係の上告理由第四点について
 上告人らは,昭和48年7月5日原審第一回口頭弁論期日において,その事実に関する主張を第一審判決の事実摘示のとおりと陳述しているところ,右事実摘示によれば,所論相殺の抗弁は,昆布の売主が訴外D漁業協同組合連合会であり,かつ,同訴外人に昆布引渡債務の不履行があつたことを前提とする主張であり,上告人らはその後原審において右主張を変更していないことが記録に徴し明らかであるから,原審が,右訴外人は昆布の売主ではないとの事実を適法に確定したうえ,右相殺の抗弁をその前提において認められないとして排斥したことは,正当である。原判決に所論の違法はなく,論旨は採用することができない。
 右上告代理人らの右上告人関係のその余の上告理由及び上告人A2関係の上告理由について
 所論の点に関する原審の認定判断は,原判決挙示の証拠関係に照らし,正当として是認することができ,その過程に所論の違法はない。所論引用の判例は,事案を異にし本件に適切でない。論旨は,ひつきよう,原審の専権に属する証拠の取捨判断,事実の認定を非難するものにすぎず,採用することができない。
 上告代理人奥野健一の上告理由について
 所論の点に関する原審の認定判断は,原判決挙示の証拠関係に照らし,正当として是認することができ,その過程に所論の違法はない。論旨は,ひつきよう,原審の専権に属する証拠の取捨判断,事実の認定を非難するものにすぎず,採用することができない。
 上告代理人植木幹夫,同植木壽子の上告理由第一点一について
 判決の事実摘示として「証拠関係は本件記録中の証拠関係部分のとおりである」旨を記載したからといつて,証拠に関する摘示をしたことになるものではないが,本件においては,記録及び原判決の理由の説示に徴し,前記証拠関係の摘示を欠いたことが判決に影響を及ぼしているとは認められないから,所論は,上告適法の理由にあたらない。論旨は,採用することができない。
 右上告代理人らの同第二点について
 本件記録に徴し,所論指摘の日に被上告人B販売組合が解散し,同被上告人の代表者Eが代表権を喪失したことは認められない。原判決に所論の違法はなく,論旨は採用することができない。
 右上告代理人らのその余の上告理由について
 所論の点に関する原審の認定判断は,原判決挙示の証拠関係に照らし,正当として是認することができ,その過程に所論の違法はない。論旨は,ひつきよう,原審の専権に属する証拠の取捨判断,事実の認定を非難するものにすぎず,採用することができない。
 よつて,民訴法401条95条89条93条に従い,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。」