(原審:名古屋高判昭和40年11月17日(昭和35年(ネ)第530号))
<判決>
上告棄却。
「上告代理人補永守の上告理由は別紙のとおりである。
上告人らは,本訴において,被上告人B1は第一審判決別紙第一目録記載の物件を使用することにより,被上告人B2有限会社,同B3,同B4は原判決別紙第三目録記載の物件を使用することにより,いずれも上告人らの共有にかかる特許第192330号「製材用送材車の進退装置」の特許権を侵害するものであるとして,右各物件の使用の禁止および右各物件につきロープ捲取胴輪の撤去を請求するものである。
職権によつて調査するに,本件特許権は大正10年法律第96号特許法(以下旧法という。)による特許権であつたが,旧法は昭和34年法律第122号特許法施行法(以下施行法という。)2条により昭和35年4月1日廃止され,同法3条により右特許権は昭和34年法律第121号特許法(以下新法という。)による特許権となつたものとみなされることとなつた。そして,その存続期間は施行法18条により従前の例によることとなつており,したがつて,旧法43条1項により出願公告の日である昭和26年10月15日から15年を経た昭和41年10月14日終了したものといわなければならない。なお,施行法18条,20条5項によれば,新法施行の際に旧法43条5項同法施行令2条1項による存続期間の延長出願が係属していないかぎり,特許権の存続期間は延長されないこととなつており,旧法43条5項による右出願は,旧法施行令2条1項により存続期間満了の日前6月ないし1年以内にしなければならないこととなつていたので,本件特許権に関する右出願は昭和40年10月15日以降にならなければすることができず,昭和35年4月1日新法施行の際に右出願が係属することはあり得ないから,結局,本件特許権につき存続期間は延長され得ないこととなつている。したがつて,現在においては,本件判決を求める法律上の利益はすでに失われたものというべく,本件上告人らの請求は棄却すべきものである。それゆえ,原判決の結論は結局正当に帰する。
よつて,民訴法401条,95条,89条,93条に従い,裁判官全員の一致で,主文のとおり判決する。」