(原審:東京高判昭和40年6月24日(昭和36年(行ナ)第59号))
<判決>
上告棄却。
「上告代理人阪本安房,同阪本治房の上告理由第一点について。
原審の確定するところによれば,本件特許発明は,含水植物繊維質微砕物に金網を当てて成型する技術に模様付けのための型板の組入れが不可分的に結合し,含水植物繊維微砕物から一挙に成型し同時に模様を付与する一個の技術思想に組織されているのであつて,金網を使用して成型する公知の事実を除外しては,本件特許発明における硬質繊維板の製造方法として有機的に統一された技術を分離分断することになり,本件特許発明の目的とする模様付けの硬質繊維板製造の目的が達成できないものである,というのであつて,右は,当事者間に争いのない事実および挙示の証拠に照らし肯認することができ,その間に所論のような経験則違背の点はない。また,原審が本件特許発明の要旨を認定するにあたり,金網を使用して成型する公知の事実を除外しえないとした判断を違法とすることはできない。所論引用の判例は事案を異にするもので,本件に適切でなく,論旨は採用できない。
同第二,三点について。
所論の点に関する原審の認定・判断は相当で,原判決に所論の違法はなく,論旨は採用できない。
よつて,行政事件訴訟法7条,民訴法401条,95条,89条に従い,裁判官全員の一致で,主文のとおり判決する。」