最判昭和44年7月8日(集民96号175頁(昭和40年(行ツ)第31号))

(原審:東京高判昭和40年2月25日(昭和35年(行ナ)第42号))

<判決>
 上告棄却。
「上告代理人小林哲郎の上告理由,同繩野文男の上告理由および上告人の上告理由について。
 原審が,その認定した事実関係のもとにおいて,審決引用の刊行物である「メリアンド・テキスタイル・ベリヒテ」1954年5月号は,本件特許出願前わが国内において頒布され,その記載内容が公知の状態にあつたものというべく,また,本件発明と右記載の引用例とでは,個々の要件につき多少の相違は存するけれども,そのため本件発明が引用例から予測しえないような差異を生ずるものとは認められず,けつきよく,本件発明は引用例から当業者が容易に想到しうべき程度のものであるとした判断は相当で,その過程にも所論の違法は認め難く,論旨はすべて採用できない。
 よつて,民訴法401条95条89条に従い,裁判官全員の一致で,主文のとおり判決する。」