最判昭和43年11月1日(民集22巻12号2383頁(昭和40年(行ツ)第47号))

(原審:東京高判昭和40年3月23日(昭和37年(行ナ)第169号))

<判決>
 上告棄却。
「上告代理人日下繁,同井出正光の上告理由第一点について。
 論旨は,東京国際見本市は社団法人東京国際見本市協会(以下たんに見本市協会という)により東京都において開設されるところ,見本市協会は東京都を中心的正会員とし,東京商工会議所,日本貿易振興会および株式会社東京国際貿易センターを正会員として組織される公共的団体で,経費の大部分を東京都が負担しており,かかる実情に照らして,東京国際見本市は,旧特許法(大正10年法律96号)6条1項にいう「都道府県ニ準ズベキモノノ開設スル博覧会」に該当するものと解すべく,原判決には同条項の解釈を誤つた違法がある,という。
 しかし,同条項にいう「都道府県ニ準ズベキモノ」とは,旧特許法施行当時わが国の統治下にあつた朝鮮の道,台湾の州のごとき地方公共団体を指称し,見本市協会がこれに該当しないことは,原判示説示のとおりである。論旨は採用できない。
 同第二点および第三点について。
 論旨は,東京国際見本市は同条項にいう「政府ノ認可ヲ得テ開設スル博覧会」に該当し,原判決には同条項の解釈を誤り,また理由不備の違法がある,という。 しかし,右にいう「政府ノ認可」は博覧会の開設自体に関するもので,見本市協会の設立につき通商産業大臣の許可があつたことをもつて,同条項にいう「政府ノ認可」があつたものとすることはできず,その他,原判決が,その認定した事実関係のもとにおいて,所論東京国際見本市が同条項にいう「政府ノ認可ヲ得テ開設スル博覧会」に該当しないとした判断は正当で,その過程にも所論の違法は認められない。論旨は採用できない。
 同第四点について。
 東京国際見本市が,同条項にいう「工業所有権保護同盟条約国ノ版図内ニ開設スル官許ノ万国博覧会」に該当しないとした原判決の判断は正当で,論旨はとうてい採用できない。
 よつて,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法401条95条89条に従い,裁判官全員の一致で,主文のとおり判決する。」