<判決>
上告棄却。
「 弁護人渡辺又喜の上告趣意は,単なる法令違反,量刑不当の主張であり,被告人本人の上告趣意は,単なる法令違反,事実誤認の主張であって,いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらない。
所論にかんがみ,職権により判断する。
原判決の認定するところによれば,被告人は,Aらが日本国外から日本国内に覚せい剤を輸入し,覚せい剤取締法違反,関税法違反の各罪を犯した際,Bとともに,日本国外で右覚せい剤を調達してAに手渡し,同人らの右各犯行を容易にしてこれを幇助したというのである。右のように,日本国外で幇助行為をした者であっても,正犯が日本国内で実行行為をした場合には,刑法1条1項の「日本国内ニ於テ罪ヲ犯シタル者」に当たると解すべきであるから,同法8条,1条1項により,被告人の前記各幇助行為につき原判示の各刑罰法規を適用した原判決は,正当である。
よって,刑訴法414条,386条1項3号,181条1項ただし書,刑法21条により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。」