京都府亀岡市稗田野湯ノ花


採集できる石
鉱物名コメント
桜石少ないピニ雲母に変化したもの

石を見る


1995年10月1日

 朝から暇ですることもなかったもので、久しぶりに採集に出ることにした。場所は秋の陽気で気分も良かったので京都に行くことにした。妻と子どもは実家に帰っており、最近まで結婚やら子育てやらで忙しく久しく遠ざかっていた石の趣味であった。子どもが3歳を越えるようになって、やっと少しだけ石採りに行けるようになってきたのである。

 国道24号線を北上し京都市内に入り、京都バイパスを通って亀岡市に入り湯ノ花温泉を目指した。道はわりとすいており、のんびりとツーリングできた。
 湯ノ花温泉の看板を左に見ながら、進んでいくと道は坂道になり細くなっていった。自動車学校の看板の所で左折し、山の中に入っていくような感じで道は上り坂が続く。小さいダムの堰堤を走り、道は地道になっていった。しかし、道のダム側には桜が植えられており、春にはきれいな風景であろうと思われるが、今はダムの水も抜かれ、桜も幹を残すのみとなっている。寂しい風景であった。
 ダムを過ぎてすぐに道はなくなり、採石場の門が見えてきた。前にはチェーンが張ってあり、中にはいることはできない。看板に採石場の電話番号が書いてあったので携帯電話で断りを入れて中にはいることにした。
 入ってすぐの所は資材置き場となっており、色々な石材が置いてあった。その最後の所に屑の石材が山積みになっている。ほとんどが花崗岩だったので通り過ぎようとしたが、中にエビ茶色のものが混ざっていた。拾い上げてみるとラパキビ花崗岩で、大きさが、ちょうど縦5Cm横4Cmくらいの一面がきれいに磨いてあるものであった。標本箱にちょうど収まる長方形の良い形なので持ち帰ることにした。
 そこから歩いて2分ほどで採石場の一番奥に出る。その奥の崖に桜石が出るのであるが、その崖の全面に出るわけではなく、ほんの一部分だけである。しっかり見ないと見落としてしまいそうなくらい小規模に産出するので、初めはどこか判らなかった。うろうろしていると、後ろに山道があり、人がよく通っていそうな道であった。どこかに続いているようであったが、下の方から小学校の運動会の音楽や子ども達の歓声が聞こえていたので、わりと近いところに人里があるのであろうと思う。考えて見れば、ここは行者山の裏手にあたるところであり、そちらの方にも町があったはずであった。

 やっとの事で転石の中に桜石を見つけ、それを辿って露頭を見つけた。しかし、風化が激しくてなかなか良いものは得られなかった。結局少しましなものを得られただけで、本で見るような物は見つからなかった。まあ、天然記念物に指定されているような物は、今の時代に出ることはないだろうと、あきらめて帰ることにした。

 帰りに、益富会館に寄った。京都に来るときには必ず寄ることにしているが、車での訪館は今回が初めてであった。確か駐車場は2台分しかなく置けるスペースがあるかどうか心配であったが、着いてみると全部空いていた。この秋の気候の良いときにはみんなはフィールドに出ているのであろう。
 中に入って一通り見学した後、一階で休憩していると会報があって興味深く読ませていただいた。出口の近くに福岡の緑柱石と、奈留島の水晶の日本式双晶の片割れと、平岩鉱山の蛍石と、糸魚川の軟玉が100円で売っていたので思わず買ってしまった。ここへ来るといつも何かしら買ってしまう。この前はベスブ石だったか、そのもっと前はパンニング皿だったか、ついつい手が出てしまう。自分で採るのが信条だと思ってはいるが、安いのと、その産地に自分が行った時に、石を見分けられる目がついているように買ってしまうのであろう。しかし、考えれば考えるほど悲しい習性ではある。パンニング皿も買っただけで、まだ一度も出動してはいない。



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