弁財天は七福神の中でただ一人の女神で、一般的には弁天様と親しまれています。 その美貌とあでやかな姿で人気を集めている弁天様は、元々はインドの神様であり梵語でサラスバティーと呼ばれ、サラスは水の意味、バティーは持つもの意となり川・河や池・湖などを含めて水を神格化した女神を意味する言葉です。
弁財天には二つの姿があり、一つは四本の腕を持ち、そのうちの二本の腕でヴィーナという弦楽器(日本に伝わる時に、琵琶に変わったらしい)を持ち、他の二本の腕には経典や数珠、蓮華などを持っています。
もう一つは、琵琶を抱えた姿ではなく、八本の手を持つ『八臂弁財天』で、神社に祀られているものはこの姿が多いです。 その八臂弁財天の髪の部分をよーく見ると小さな鳥居が立っていて、その奥に老人の顔をした小さな白蛇がいます。これが『宇賀神』です。
この宇賀神とは、稲の実りを司る精霊みたいなもので、古代には「ウケ」とか「ウカ」と呼ばれていました。ちなみに伊勢神宮外宮に祭られる豊受大神や稲荷神社の宇迦之御魂命もこの系統から進化した神です。
蛇の体をしている理由ですが、インドでは白蛇を「ウガヤ」と呼んでいたことからこうなったといわれています。 また稲の生長には水が必要で、水の守護神として竜蛇神が考えられていたことが宇賀神に蛇体を取らせる理由になったとも思われます。
さて、日本三大弁天というと、基本的には、神奈川県の江ノ島神社、広島県宮島の厳島神社、滋賀県琵琶湖北の竹生島神社の三社をこう呼んでいますが、江ノ島神社の代わりに奈良県の天河大弁財天社を加えて三大弁天と呼んでいるところもあります。 さて、真相はどちらなのでしょうか。 こういう神社系の弁天では御祭神は当然市杵嶋姫神、あるいはその姉妹の湍津姫神・田心姫神を併せた宗像三女神になっています。