クラシックを聴いて75年
渡辺 虎男
小学校の低学年の時、手回しの蓄音機でチャイコフスキーの「悲愴」を聴いてからクラシック音楽に病み付きになりまして、それまでは身近できいたお琴とか活動写真の和洋合奏を聴いて楽しんでおりました。
それ以来、今まで75年間クラシックのメロディーから離れたことはいくらもありません。
戦争末期に戦地で暮らした2年間の荒涼たる生活の中で、ひとりになった時、ふと気がつくと「第9」のリフレインをひとりでに口ずさんでいました。 限り無く力づけられたものです。
平和の生活に戻ってからは、いくら忙しい時でも睡眠時間を割いてでも毎日音楽を聴かずには居れませんでした。またなけなしの小遣いをはたいてリサイタルの切符を買い続けたものです。巨匠の音色が今も時々耳の中で甦ります。
そんなわけで、難しいことは何もわかりませんがいい音楽を聴いていれば限り無く幸せです。あと何年聴けるか。そんなことはあまり考えません。音楽を聴いていれば青春そのものですから。
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