境界型数値解析法の一種であるトレフツ法について解説する。
トレフツ法について、解説とともにプログラムのリストが掲載されている。 このプログラムは FORTRAN 77 である。2000 年に発行されているのだから Fortran 90 であってほしい、 と思うが、仕方がない。
本書では、トレフツ法に用いる関数をトレフツ関数といっている。 これについては、pp.9-10 に次の注意がある。
なお,厳密にいえば,トレフツ関数という呼び名は本書における造語であり, 文献では c-complete 関数(c-complete function), または T-complete 関数(T-complete function)と記述されることが一般的である。
では、本書ではトレフツ関数と統一して呼んでいるかというとそうではなく、p.11 や p.12 では T-complete 関数という用語が出てきている。この使いわけがあるのかどうかはわからない。
ちなみに、トレフツ関数は、それぞれの問題に応じた偏微分方程式(支配方程式)において定められている。 本書では2次元ラプラス方程式とそれに対するトレフツ関数を p.10 で次のように示している。 なお、本書の数式で \( \boldsymbol{u}^* \) となっているベクトルは、 引用の都合で `bbu^**` と立体になっている。
ポテンシャル関数 `u` について,2 次元ポテンシャル問題の支配方程式は次式で与えられる。
`(del^2/(delx^2) + del^2/(dely^2)) u -= nabla^2u = 0`
2次元閉領域に対して,ポテンシャルに関するトレフツ関数はつぎのように与えられる。
`bbu^** = {1, cdots, frR[r_nu e^(jnutheta)], frJ[r^nue^(jnutheta)], cdots}^T`
=`{ (1, (mu=1)), (r^(mu//2)cos(mu/2 theta), (mu = 2, 4, 6, ldots)), (r^((mu-1)//2)sin((mu-1)/2 theta), (mu = 3, 5, 7, ldots)):}`
ここで,`r, theta` は平面極座標であり,原点は任意に取られる。 また,`frR, frJ` は複素関数の実部と虚部を,`j` は虚数単位 `sqrt(-1)` を示す。
p.15 の一番下の行、`(r, theta)`は平面曲座標であり,
とあるが、
正しくは《`(r, theta)`は平面極座標であり,》だろう。
数式表現はMathJax を用いている。
書 名 | トレフツ法入門 |
著 者 | 神谷紀生・北栄輔 |
発行日 | 2000 年 5 月 25 日 初版第1刷 |
発行元 | コロナ社 |
定 価 | 2200 円 (税別) |
サイズ | |
ISBN | 4-339-02375-2 |
NDC | |
その他 | 草加市図書館で借りて読む |
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