カバーから引用する。
無人島で生まれた純粋数学の世界、そこで恋人たちは何をみつけるのか?
私には難しい。鍵になるのは p.11 にある旧約聖書の出だしみたいな文である。
初め、すべては空虚だった。J・H・W・H・コンウェイは数の創造を始めた。コンウェイは言った。 「大も小も、あらゆる数を生む二つの規則あれ。第一の規則はかくのごとし。すべての数は、前に作られた数から成る二つの集合に応じ、 左集合のいかなる要素も、右集合のどの要素より大きくもなく、それに等しくもないこと。第二の規則はかくのごとし。 ある数が別の数より小さいかそれに等しいのは、第一の数の左集合のいかなる要素も第二の数より大きくもなく、 それに等しくもなく、かつ第二の数の右集合のいかなる要素も、第一の数より小さくもなく、 それに等しくもない場合のみである」。そしてコンウェイは自ら作った二つの規則を調べた。すると見よ、規則はうまくいった。(後略)
数学には記号がないと読みにくいという例だと思う。まず第一の規則でいっていることは、すべての数は二つの集合から作られるということ、 これら二つの集合は左集合と右集合という名前であること、左集合も右集合も既に作られた数を要素とする集合であること、などである。
実は、上記の規則からはすぐに読み取れない規則がある。たとえば、左集合も右集合も空集合を含む、ということである。そう考えないと、 すべては空虚だったとき、すなわち数の創造を始めるとき、前に作られた数がないときに新たな数を作ることができない。空集合という概念があって、 初めて数を作ることができる。またこれと関連するのだが、左集合か右集合が空集合であれば自動的に第一の規則は満たされることである。 さらに、前に作られた数というのは、直前に作られた数とは限らないことである。このあたりは、本書を読み進めれば分かるはずなのだが、難しい。
最初の数は左集合も右集合も空集合の場合である。このときの数を `(:::)` と表している。`:` は左集合と右集合を区別する印だ。
これは最初にできた数であり、この最初に生まれた数を求めることを仮に一日目の問題としておく。
そして便宜上この数を `●` とおいている。
次の数は2つある。1つは左集合の要素が`●`で右要素が空集合のとき、もう1つは1つは左集合が空集合でで右要素がの要素が`●`のときである。
これらはそれぞれ `(:●::), (::●:)` と表せる。そして前者を `-`、後者を `|` とおいている。この2つの数字を求めるのは二日目の問題としていいだろう。
ここまでは、通常の整数を作るアナロジーに似ている。
つまり`● = 0, - = -1, | = 1` という類似が成り立つ。では、三日目の問題
はどうだろうか。一日めの問題で生成した `(:::)`、
二日目の問題で生成した `(:●::), (::●:)` を含めて、三日目の問題では 20 個の数ができる。p.30 と p.31 から引用すると次のようになる。なお、数の区切りにカンマを加えた。
`(:::)`, `(:- ::), (:●::),(:| : :), (:-●::), `
`(:-|::), (:●|::), (:-●|::), (::- :), (::● :), `
`(: : | :), (: : -● :), (: : -| :), (: : ●| :), (: : -●| :),`
`(: - : ● :), (: ●: | :), (: -●: | :), (: - : ●| :), (: - : | :)`
うーん、中学受験の算数の試験科目に出てきそうで怖い。
書名 | 至福の超現実数 |
著者 | D・E・クヌース |
発行日 | 2004 年 12 月 10 日 第1刷発行 |
発行元 | 柏書房 |
定価 | 1500 円(本体) |
サイズ | |
ISBN | 4-7601-2646-5 |
備考 | 草加市立図書館で借りて読む |
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