「はじがき」より引用する:
(前略)多様体は,現在では,単に幾何学の一つの研究対象であるにとどまらず, 数学のさまざまの展開をその上で許容する,現代数学全般にわたっての基本的な場として考えられるに至った. (中略)なお第1章から第7章までの本論とは別に,冒頭に序章をおき, そこで多様体論の成立する過程を解説風に詳しく述べてみた. 序章は,本論とは,内容もその書き方もまったく独立しているから, したがって本書は序章と本論の二つの部分からなるといった方が適切である. (中略) 序章は適宜参照することにして,直ちに本論から読みだすことも可能である.
本書は「岩波講座 基礎数学」全 24 巻( 79 分冊) のうちの第 1 回配本のうちの 1 冊である。
私は多様体を勉強したことがない。大学一年生になったばかりのときに、 友達から「多様体っておもしろいよね」と言われて驚いたことを覚えている。 たぶん、その友達が持っていた本は松島与三の「多様体入門」ではなかっただろうか。
私は応用物理に行ったので多様体は勉強したことがない。しかし、 あるWEBページで「数学や物理の学生だったら多様体は当然知っているでしょ」といわんばかりの主張を目にして、 私はへこんだ。いや、私は応用物理だから(純粋)物理とは違う、と言い張ることにした。
それで序章だけでもと思ったが、最初の2ページぐらいで「位相同型」ということばが出てきて、 その先を読み進めることをあきらめた。そこで本論の開始である第1章を見てみたが、最初のページを見て挫折した。
というのも、`RR^n` の開集合 `U` に関して、次のように書かれていて、これがまったくわからなかったからだ。 なお、本書では実数の集合は R と記されているが、以下の引用では `RR` という黒板太字に変えている。`U` 上の実解析的な関数全体のつくる `RR^n` 上のベクトル空間を `C^oo(U)` で表わす.ベクトル空間としての自然な包含関係
`C^0(U) supset C^1(U) supset cdots supset C^r(U) supset cdots supset C^oo supset C^omega(U)`が存在する.`r = 0, 1, 2, cdots` に対して便宜上 `r lt oo lt omega` なる順序を与えておく.
せめて章末の問題は理解したいと思ったが、だめだった。p.95 にある問題の 1 である。次の命題が真であることを示せ、というものだろう。
1 `M` を1次元の連結な位相多様体とする.
(ⅰ) `M` がコンパクトならば,`M` は円周 `S_1` に同相である.
(ⅱ) `M` がパラコンパクトでコンパクトでなければ,`M` は `RR^1` に同相である.
(ⅲ) `M` がパラコンパクトでなければ,`M` は長い半直線 `L^+` か, 長い直線 `L` に同相である.
(ⅳ) `L^+` と `L` は同相でない.
このページの数式は MathJax で記述している。
書 名 | 多様体論Ⅰ |
著 者 | 志賀 浩二 |
発行日 | 1976 年 5 月 27 日 |
発行元 | 岩波書店 |
定 価 | |
サイズ | A5版 133 ページ |
ISBN | |
その他 | 岩波講座 基礎数学 草加市立図書館にて借りて読む |