「数学問題集1」のp.ⅲ の「岩波現代文庫版にあたって」から引用する。
本書は 1996 年にアメリカ数学会から出版された
Mathematical Circles ( Russian Experience) の翻訳です。
わたしにも解ける問題がありそうだ。まず「第9章 帰納法」の問題を見てみよう。p.33 から引用する。
問19 `4^n + 15n - 1` は 9 で割り切れる。
巻末の解答を見ずにやってみよう。
`a_n = 4^n+15n-1` とおく。まず `n=1` のとき `a_1 = 4^1+15*1-1 = 4 + 15 - 1 = 18 ` だから 9 で割り切れる。
次に `a_n = 4^n+15n-1` が 9 で割り切れると仮定する。すると、`m` を整数として `a_n = 4^n+15n-1 = 9m` とおける。
ここで `a_(n+1) = 4^(n+1) + 15(n+1) -1 ` を計算する。
`4^(n+1) + 15(n+1) - 1 = (1+3)*4^n + 15(n+1) - 1 = (4^n + 15n - 1) + 3*4^n + 15 = a_n + 3(4^n + 5)`
ここで `a_n` は 9 の倍数である。また、`4^n + 5` は 3 の倍数である。なぜなら、`mod 3 ` で考えると `4^n = (3 + 1)^n -= 1` かつ `5 -= 2` だから `4^n+1 -= 0` だからである。
よって `a_n + 3(4^n+5)` は 9 の倍数であることがわかったので `a_(n+1)` も 9 で割り切れる。
以上で数学的帰納法により、`a_n` は 9 で割り切れる。
数学的帰納法だけで押し通してしまうつもりが、最後に合同式が出てきてしまった。まあいい。巻末の解答は、合同式こそ出していなかったが、上記の道筋で証明していた。
数式は ASCIIMath で記述し、MathJax で表示している。
書名 | やわらかな思考を育てる数学問題集2 |
著者 | D.フォミーン,セルゲイ・ゲンキン,イリヤ・イテンベルク |
訳者 | 志賀浩二, 田中紀子 |
発行日 | 2012 年 12 月 14 日 第1刷 |
発行元 | 岩波書店 |
定価 | 960 円(本体) |
サイズ | 文庫版 |
ISBN | 978-4-00-600276-3 |
NDC | 410 |
その他 | 岩波文庫、草加市立図書館で借りて読む |
まりんきょ学問所 > 数学の本 > D.フォミーン,セルゲイ・ゲンキン,イリヤ・イテンベルク:やわらかな思考を育てる数学問題集2