秋山仁+ピーター・フランクル:数学オリンピック1984~1989

作成日:2023-08-06
最終更新日:

概要

はしがきから引用する。IMO とは国際数学オリンピックを指す。

IMO 問題の美しさ,深遠さ,または超一流の難しさを読者諸兄が本書によって堪能されることを願ってやみません.

感想

わたしには解けない問題ばかりだ。特に幾何の問題は苦手だ。たとえば、p.62 にある1987年・ハバナ大会の問題2 は、入試問題的で IMO の問題としては極めて易しい と本書の p.154で分析されているが、私には解けない問題だ。どんな問題か、引用する。

鋭角三角形 `"ABC"` に関して,角 `"A`" の2等分線と辺 `"BC"` ,および `/_\"ABC"` の外接円との交点をそれぞれ `"L, N"` とする. また,点 `"L"` から `"AB, AC"` に引いた垂線の足をそれぞれ `"K, M"` とする.このとき,`/_\ "ABC"` の面積と `square"AKNM"` の面積が等しいことを示せ.

座標でやろうとして挫折した結果を載せる。

`"A"(0,0), "B"(2b,0), "C"(p, q)` とおく。直線 `"AN"` の方程式を `y = mx ( m gt 0)` とおく。また、`/_\ABC` の外接円の半径を `R`、中心を `(b, y_0)` とおけば、 外接円の方程式は

`(x-b)^2 + (y-y_0)^2 = R^2`
となる。外接円は点 `"A(0,0)"` を通るので、
`b^2 + y_0^2 = R^2`
である。また、点 `"C"(p, q)` を通るので、
`(p-b)^2 + (q-y_0)^2 = R^2`
である。これらの2式から、未知の `(y_0, R)` を既知の `b, p, q` によって表すことができる。
`y_0 = (-2b+p^2-q^2) / (2q), R^2 = b^2 + (-2b+p^2-q^2)/(4q^2)`

さて、交点 `"L"` の座標を求めたい。直線 AL の方程式は 角 A の2等分線であることから、

`(2m)/(1-m^2) = q/p`
であることがわかる。交点 `"L"` の座標を`"L"(x_L, mx_L)` とすると、
`mx_L = -q/(2b-p)(x_L - 2b)`
`x_L = (2bq)/(m(2b-p)+ q)`
が得られる。また、交点 `"N"` の座標を`"N"(x_N, mx_N)` とすると、
`(x_N-b)^2 + (mx_N-y_0)^2 = R^2`
であるので、`x_N` を `b, y_0, R` で表すことができる。
`(m^2+1)x_N^2 -2()`
また、AN の長さの二乗は
`x_N^2 + m^2x_N^2`
であるが、実行する元気がわかない。

ここで、`/_\ "ABC"` の面積を求めよう。底辺がABで高さはCの座標だから面積は`bq` である。 次に`square"AKNM"` の面積だが、これは`/_\ "ANM"` の面積と`/_\ "ANK"` の面積の和である。これが無事 `bq` になればいいのだが。 そして実は、`/_\ "ANM"` と`/_\ "ANK"`は合同である。辺 AL が等しく、`/_LAM` と `/_LAK` が等しく(ALは角Aの二等分線)、かつ `/_ALM` と `/_ALK` が同じだからだ (`/_AML` と `/_AKL` がどちらも直角で等しいので、残りの角も等しくなる)。そこでまず、直線`"AN"` と点`"K"` の距離を求めよう。 直線 `y=mx` と点 `(x_0, y_0)` の距離は `abs(mx_0-y_0)/(m^2+1)` だから、直線`"AN"` と点`"K"` の距離は `(2bm)/(m^2+1)` である。これが`/_\ "ANK"`の `"AN"` を底辺としたときの高さである。だから、あとは AN の長さがわかればいいのだが、元気がわかないので力尽きた。

数式は ASCIIMath で記述し、MathJax で表示している。

書誌情報

書名 数学オリンピック1984~1989
著者 秋山仁+ピーター・フランクル
発行日 2018 年 3 月 30 日
発行元 日本評論社
定価 1800 円(本体)
サイズ
ISBN 4-535-78177-X
NDC 410

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MARUYAMA Satosi