「はじめに」から引用する:この小冊を読んで幾何学の不思議に興味をもたれる人がわずかでも出てきたら幸いである。
なお、本書は縦書きである。横書きの数式も本文に埋め込まれているから、読みにくい箇所がある。 また、索引がない。
私は、幾何学が苦手だった。だから、本文はほとんど読んでいない。
そのかわりこんな箇所を読んでおもしろいと思っている。p.155 から引用する。
ここでいう僕
は、著者が本書でこしらえた対談者の一人である老生
のことを指す。
著者と同一視していいのかどうかはわからない。
僕はは若い頃 Verband(フェアバント)という、 まだ目新しかった数学用語を何と訳していいか迷って高木貞治先生にお伺いを立てたら、 先生からは無理に訳さない方がよかろうとの返事が返ってきた。 しかしこれはドイツ語だったし、困ってしまい、 試みに結束の結を除いて
束 と訳してみた。 すると漢字特有の造語の便利さで抵抗もなく通用してしまった。束は元来タバという意味だから bundle も束だし、訳語としてはよくなかったと今では思っている。 中国では束の英語の lattice をそのまま訳して「格」といっているそうだ。(後略)
数学には、「束」という訳語で充てられる概念に bundle や lattice のほかに pencil もあるから、 確かに訳語としてはほかに考えるべきだったかもしれない。なお、ドイツ語の数学用語が日本で定着した例は、 私はイデアルの他は知らない。
本書で、ガウスが発見したいわゆる Theorema Egregium を、本書では抜群の定理
(p.101) と言っている。
この定理は日本語では「驚異の定理」、「驚愕の定理」、「すばらしい定理」などと呼ばれる。
数式表現には、MathJax を用いている。
書名 | 非ユークリッド幾何の世界 新装版 |
著者 | 寺阪英孝 |
発行日 | 2014 年 8 月 20 日 第1刷 |
発行元 | 講談社 |
定価 | 900円 (税別) |
サイズ | 新書判(18cm) 254 ページ |
ISBN | 978-4-06-257880-6 |
NBC | 414.8 |
その他 | 講談社ブルーバックス、草加市立図書館で借りて読む |
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