小松勇作(編):新編数学ハンドブック 応用編

作成日 : 2022-06-02
最終更新日:

概要

「まえがき」から引用する。

内容の程度としては,大学の教養程度から理工系の専門課程にいたる広い範囲にわたり, 理工系を志す学生をはじめ,教育者や研究者にとって,学習のための事典ないしは備忘録として活用されることを期待している.

ミクシンスキーの演算子

本書の Ⅴ. 演算子法では、微分方程式の解法について解説されていて、 pp.196-197 にかけて次の例題がある。ここで、M. 演算子法とはミクシンスキーの演算子法による解法を、 また L. とはラプラス変換による解法を指す。

例題 2. `x' - x = (2t - 1)e^(t^2), x(0) = 2` を解け.

[解] M. 演算子法の記号でかくと,

(6.10)
`x' - x = {(2t-1)e^(t^2)}`
となる.`x(0) = 2` であるから,
`x'= sx - 2`
これを (10) に代入して,
`sx - x= 2 + f quad quad (f={(2t-1)e^(t^2)}),`
`x = (2+f)/(s-1) = 2/(s-1) + f/(s-1) = {2e^t} + {e^t}{(2t-1)e^(t^2)}`
` = {2e^t + int_0^t e^(t-tau) (2tau - 1)e^(tau^2) d tau} = {e^tau + e^(tau^2)}`.
よって,
`x(t) = e^t + e^(t^2)`.
(以上)

例題 2 を L. で考えると,`ccL(te^(t^2))`,`ccL (e^(t^2))` が現れ,収束座標 `oo` で利用できない.

微分方程式の解法で、ミクシンスキーの演算子法は利用できるが、ラプラス変換が利用できない例がある、 ということがわかった。ラプラス変換は、本書 p.179 によれば次の形の積分である。

(3.1)
`ccL (f, s) = int_0^oo e^(-st)f(t)dt`

収束座標については、p.179 で次のように説明されている。

`ccL f(f, s) ` に対して収束座標といわれる `alpha(-oo le alpha le oo)` が一意的に存在し, 収束域といわれる半平面 `frR s gt alpha` で収束し,`frR s lt alpha` で収束しない. ラプラス変換の理論が適用できるためには,収束座標 `alpha lt oo ` でなければならないが,これは暗に仮定されているとする.

ということでこの場合は暗黙の過程が成り立たず、そのためラプラス変換が使えなかったというわけである。

誤植

本書の書名は「新数学ハンドブック 応用編」であって、表紙や背表紙にそう書いてある。 しかし奥付では「新数学ハンドブック 応用編」となっている。

数式記述

このページの数式は MathJax で記述している。

書誌情報

書名新編数学ハンドブック 応用編
編者小松勇作
発行日1981 年 8 月 10 日 初版第 6 刷
発行元朝倉書店
定 価? 円
サイズA5版 465 ページ
ISBN
その他越谷市立図書館にて借りて読む

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MARUYAMA Satosi