本書裏から引用する。
高校数学のベクトルを、初歩から大学数学まで、一対一の対話形式で解き進めます。
本書は第1幕(第1章から第5章)と第2幕(第6章から第11章)で構成されている。また第1幕と第2幕の間に Interlude がある。 章末には演習問題があり、巻末には演習問題の解答がある。
Interlude がおもしろい。p.100 にこんな問題がある。
定点 `A, B` に対し,`vec(OP) = s vec(OA) + t vec(OB), 2s+t = 2, s ge 0, t ge 0` を満たす点 `P` の存在範囲を図示せよ。
ここでの対談の主は次の解法を示している。まず、式を次のように変形する。
以下は略する。私は、上記のような解法に気が付かなかった。そして、対談の主がすぐ後(p.101)でこう言っている。
でもね,この問題,`2s + t = 2` の両辺を 2 で割って `s + t/2 = 1` として,`vec(OP)` を
`vec(OP) = s vec(OA) + t/2(2vec(OB))`と変形することにより解答する生徒が圧倒的に多い。教科書や多くの参考書に載っているやり方で,それでもいいでしょうが, この方法でできるからいいじゃないかといって,話をしっかり聞かない人が目立つ。
私が現役の受験生だったら、きっと「話を聞かない人」に入っていただろう。
数式は MathJax で記述している。
書名 | 数学ロングトレイル「大学への数学」に挑戦 ベクトル編 |
著者 | 山下光雄 |
発行日 | 2015 年 6 月 20 日(第1刷) |
発行元 | 講談社 |
定価 | 1180 円(本体) |
サイズ | 18cm 250ページ |
ISBN | 978-4-06-257913-1 |
その他 | 講談社ブルーバックス、草加市立図書館で借りて読む |
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