山下光雄:数学ロングトレイル「大学への数学」に挑戦 ベクトル編

作成日 : 2023-09-21
最終更新日:

概要

本書裏から引用する。

高校数学のベクトルを、初歩から大学数学まで、一対一の対話形式で解き進めます。

感想

本書は第1幕(第1章から第5章)と第2幕(第6章から第11章)で構成されている。また第1幕と第2幕の間に Interlude がある。 章末には演習問題があり、巻末には演習問題の解答がある。

ベクトルと点の範囲

Interlude がおもしろい。p.100 にこんな問題がある。

定点 `A, B` に対し,`vec(OP) = s vec(OA) + t vec(OB), 2s+t = 2, s ge 0, t ge 0` を満たす点 `P` の存在範囲を図示せよ。

ここでの対談の主は次の解法を示している。まず、式を次のように変形する。

`vec(OP) = s vec(OA) + (1-s)2vec(OB)`
そこで点 `B` を ` 2vec(OB)=vec(OB')` を満たすようにとると、次の式となる。
`vec(OP) = (1-s)vec(OB') + s vec(OA)`
これは点 `P` が線分 `B'A` を `s:1-s` に分けることを示しているので `0 le s le 1` に注意すると,`P` は内分点で線分 `B'A` 上を動くことがわかる。

以下は略する。私は、上記のような解法に気が付かなかった。そして、対談の主がすぐ後(p.101)でこう言っている。

でもね,この問題,`2s + t = 2` の両辺を 2 で割って `s + t/2 = 1` として,`vec(OP)` を

`vec(OP) = s vec(OA) + t/2(2vec(OB))`
と変形することにより解答する生徒が圧倒的に多い。教科書や多くの参考書に載っているやり方で,それでもいいでしょうが, この方法でできるからいいじゃないかといって,話をしっかり聞かない人が目立つ。

私が現役の受験生だったら、きっと「話を聞かない人」に入っていただろう。

数式と図の記述

数式は MathJax で記述している。

書誌情報

書名 数学ロングトレイル「大学への数学」に挑戦 ベクトル編
著者 山下光雄
発行日 2015 年 6 月 20 日(第1刷)
発行元 講談社
定価 1180 円(本体)
サイズ 18cm 250ページ
ISBN 978-4-06-257913-1
その他 講談社ブルーバックス、草加市立図書館で借りて読む

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MARUYAMA Satosi