副題は「LP からコンピューターまで」。「はしがき」から引用する。
近ごろ,理系の人たちのみならず,いわゆる文系の分野で仕事をしている若い人たちと話をかわしていると, どの分野の人たちでも自分の仕事を進めていくうえでのものの考え方や理論の進め方が, 現代数学のそれと多くの共通性があることに気付いて意気投合することがよくあるが, これは現代の数学がもっている抽象性や普遍性があらゆる分野にわたって基本的なものになっているためであろう.
ここで副題の LP とは何か、ということだが、これは Linear Programming 、すなわち線形計画法を指している。 本書では線形計画問題の解法、すなわち線形計画法を導入にもってきたあたりが、時代を感じる。
本書での行列の定義では、「行列」ということばは一度だけ出るが、 その後は「マトリックス」ということばを使っている。ただし、 行列式は行列式である。また、線形空間の基底は「ベース」ということばを使っていて、「基底」は使われない。 さらに行列に付随する重要な量である「階数」はやはり登場は一度だけであとは「ランク」ということばを使っている。
本書では問題や例などを提示したとき、その提示が終わることを表す記号として、16 分休符 𝄿 が採用されている。 おしゃれだ。
p.56 の上から9行目から10行目、
これが正則であるかどうかはあらかじめわらないのが普通であるから
とあるが、正しくは、
《これが正則であるかどうかはあらかじめわからないのが普通であるから》
だろう。
書名 | 基礎教養 線形数学 |
著者 | 廣井種吉・橋口正夫・酒井幸吉 |
発行日 | 昭和 50 年 (1975 年) 3 月 1 日 8 版発行 |
発行元 | 廣川書店 |
定価 | 1100 円(本体) |
サイズ | A5 判 226 ページ |
ISBN | なし |
備考 | 川口市立図書館で借りて読む |
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