「序」から引用する
(前略)本書はそのような欠陥を補うべく,ルベーグ積分を今までよりもっと早く,もっと広く, いいかえれば理工系大学の初年級からでも学ぶことができるように編まれたものである.
本文がどことなく講談調なのがおもしろい。
(pp.36-37) 困難の打開は彼の 25 才頃にものされた学位論文 “積分,長さ,面積” において決定的に行われ, そしてそれはまたそれ以後の彼自身および他の数学者による輝きに満ちた諸探求への指標となったのである.
(p.80) この探究は,ルベーグに解析学の世界に最終的な全能的な関数のクラス,彼が可測関数と名づけたもの, を導入させるきっかけを与えた.
(p.99) この対処しにくい状位は,もし考える関数 `f` が非有界な定義域 `E` において定符号であったならば, 改称するであろう.それゆえこの場合をまず解消したなら,道が開けるのではないか, 恐らくこのようなひらめきがルベーグを力強く前進させることになったに相違ない!
(p.117) 当時青年ルベーグが愛読した解析教程の著者ジョルダンは,リーマン積分の研究に関連して, 関数の有界変動という概念を導入していた.これを `F` に付加したら, というのがルベーグのハッピーアイデアだった.
(p.126) 最初,関数 `F` を `[a, b]` で連続かつ単調増加としてその結果,失望させる不等式 `int_a^b F'(x) dx le F(b) - F(a)` を得た(定理 8.3.1).
本書の第1版第1刷は 1979 年 1 月 25 日である。 本書の脚注で多くの数学者の原綴と生没年が記載されている(例外として、原綴のみが記されている場合もある)。 そのなかで、没年が記載されていない数学者もいるので、補っておく。青字が補った部分である。
書名 | ルベーグ積分入門 |
著者 | 柴垣 和三雄 |
発行日 | 1991 年 10 月 5 日 第1版第3刷発行 |
発行元 | 森北出版 |
定価 | 2600 円(本体) |
サイズ | A5版 215 ページ |
ISBN | 4-627-00490-7 |
その他 | 草加市立図書館にて借りて読む |
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