伊藤 清三:ルベーグ積分入門

作成日:2021-12-09
最終更新日:

概要

ルベーグ積分に関する日本語による代表的な書籍。セクション(§)ごとにほぼ問題があり、 解答もかなりの部分簡単ではあるが付けられている。

感想

私のような素人が読んではいけない本だと思う。ルベーグ積分といえば、 「ほとんどいたるところ」とか、「ほとんどすべての」という言い回しが頻出する分野であるが、 これをもじって 「ほとんどいたる所わからない」とか、「ほとんどすべての学生が落伍する」 という冗談があるほどだ。まず私が躓いたのは、フラクトゥール(ドイツ文字)が読めないということだった。 たとえば、次の記述が p.33 にある。

定理 6.4 `frF_N, frJ_N` をそれぞれ `R^N` における区間,区間塊(§ 3 参照)の全体とすると `frB_N = frB[frJ_N] = frB[frF_N]` である.

このフラクトゥールで`frB_N = frB[frJ_N] = frB[frF_N]`と書かれた箇所は、 おそらく普通の書体では《`B_N = B[J_N] = frB[F_N]`》と書かれるところだと思うが、 自信がない。また、Ⅱ章 § 5 の問 5 に対する解答が p. 274 に述べられているが、次のように始まる:

5. `R^N` の中の閉集合の全体,区間の全体,有界な閉区間の全体をそれぞれ `frC_N, frJ_N, frK_N` とすると,(後略)

このフラクトゥールで`frC_N, frJ_N, frK_N`と書かれた箇所は、 おそらく普通の書体では《`C_N, J_N, K_N`》と書かれるところだと思うが、 これもまた自信がない。

さて、vi ページで、本書の各§の関係が図示されている。この図によれば、 VI 章の最初である 「§ 27. Hilbet 空間, 直交系」は、「§ 24. Euclid 空間の上の関数空間」の結果が使われている。さらにこの§24 は、 さらに前のページの結果が使われている。となると、永遠に VI 章の結果を読むことができない。 そこで無謀にも、最初から VI 章を読んでみた。そうすると、「§ 29. Fourier 変換」の p.220 の次の記述で固まった:

定理 29.1. `f in frS` ならば,(後略)

やはり飛ばして読むべきではない。`frS` の定義は p.178 にある。

書誌情報

書 名ルベーグ積分入門
著 者伊藤 清三
発行日昭和 54 年(1979年) 2 月 1 日 第17版発行
発行元裳華房
定 価2000 円(本体)
サイズA5版 301 ページ
ISBN
その他草加市立図書館にて借りて読む

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MARUYAMA Satosi