中村亨 : ガロアの群論

作成日 : 2010-08-01
最終更新日 :

概要

5次方程式には解を求める一般公式は存在しない。 ではどんな場合に解が求められるのか。それを明らかにしたのがフランスの数学者、 ガロアである。ガロアが開発したのが、群という概念だった。 著者はガロアの着想に沿って、5次方程式の一般公式がないこと、 どのような場合に一般公式が得られるのかを説明する。

感想

Amazon の書評を見てみると、好意的な書評と批判的な書評がある。 私は理解していないのでどちらとも言えない。

ここで私が書くのは、この本を読んで受験数学を思い出したことである。 解と係数の関係を利用した問題がたくさんあった。 二次方程式 `x^2 + ax + b = 0` の解を `alpha` と `beta` とする。 このとき、`alpha^4 + beta^4` を `a` と `b` の式で表せ、などというものだ。 これが今思うと、ガロアの群論の入口の入口になっていたのか、 と感慨を覚えるのだった。

なお、私がガロア体を知ったのは、 高橋 磐郎の「組合せ理論とその応用」からであった。

ガロア流の正規部分群

同書では群の説明を主にガロア自身の記法によっている。私のほうで現代の記法と比べながら理解していきたい。

まず、方程式 `x^3 - 2 = 0` のガロア群は次の通りである。

ガロア自身の記法現代の記法
`[(a,b,c),(b,c,a),(c,a,b),(a,c,b),(c,b,a),(b,a,c)]` 3 次対称群 `S_3`
`{((abc),(abc)),((abc),(bac)),((abc),(acb)),((abc),(cba)),((abc),(bca)),((abc),(cab))}`

つづく

書誌情報

書名ガロアの群論
著者中村亨
発行日2010 年 5 月 20 日
発行元講談社(ブルーバックス)
定価880 円(本体)
サイズ新書判230ページ
ISBN978-4-06-257684-0

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MARUYAMA Satosi