まえがきから引用する :
本書は,放送大学における講義「入門線型代数」用の印刷教材としてつくられた。 数学に慣れていない人や,昔学んだが忘れてしまった人を想定している。
「第 8 章 行列式の展開」を見てみた。p.156 から引用する。
再び,3 次の正方行列
`A = ((a_(11),a_(12),a_(13)),(a_(21),a_(22),a_(23)),(a_(31),a_(32),a_(33)))`の行列式を求めることを考えよう。第1列は,
`((a_(11)),(a_(21)),(a_(31))) = ((a_(11)),(0),(0)) + ((0),(a_(21)),(0)) + ((0),(0),(a_(31)))`と見ることによって行列式の定理 7.1-ⅱを使うと`abs((a_(11),a_(12),a_(13)),(a_(21),a_(22),a_(23)),(a_(31),a_(32),a_(33))) = abs((a_(11),a_(12),a_(13)),(0,a_(22),a_(23)),(0,a_(32),a_(33))) + abs((0,a_(12),a_(13)),(a_(21),a_(22),a_(23)),(0,a_(32),a_(33))) + abs((0,a_(12),a_(13)),(0,a_(22),a_(23)),(a_(31),a_(32),a_(33)))`ここで,定理 6.2 を使うと,`abs((a_(11),a_(12),a_(13)),(0,a_(22),a_(23)),(0,a_(32),a_(33))) = a_(11) abs((a_(22),a_(23)),(a_(32),a_(33)))`
なるほど、こうやるものか。いや、きっとどんな線形代数の本もこのように書かれているはずなのだが、私が見過ごしていただけなのか。ここで、定理 7.1-ⅱは pp.135-136 にある。 なお、本書の太字イタリックは引用時に太字立体にした。
ⅱ 行列式は列に関して多重線型性を満たす。
`abs((a_(11),alphaa_(12)+betab_(12),a_(13)),(a_(21),alphaa_(22)+betab_(22),a_(23)),(a_(31),alphaa_(32)+ beta b_(32),a_(33))) = alpha abs((a_(11),a_(12),a_(13)),(a_(21),a_(22),a_(23)),(a_(31),a_(32),a_(33))) + beta abs((a_(11),b_(12),a_(13)),(a_(21),b_(22),a_(23)),(a_(31),b_(32),a_(33))) `
`"det"(bba_1, bba_2, cdots, alphabba_i + betabba'_i, cdots, bba_n) = alpha "det"(bba_1, bba_2, cdots, bba_i, cdots, bba_n) + beta "det"(bba_1, bba_2, cdots, bba'_i, cdots, bba_n)`
(続く)
このページの数式は ASCIIMathML で記述している。
書名 | 入門線型代数 |
著者 | 隈部正博 |
発行日 | 2009 年 3 月 20 日 初版発行 |
発行所 | 放送大学教育振興会 |
定価 | 3,100 円(本体) |
サイズ | A5 版 294 ページ |
ISBN | 978-4-595-30935-9 |
NDC | 411.3 |
備考 | 川口市立図書館で借りて読む |
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