情報理論を扱う上で必要となる数学を紹介する。
実はこの本をかなり昔に買ったのだが、 何も読まないうちに手許から消えてしまったと思ったらまだあった。 しかし、これから読むこともないだろうから、捨ててしまうことにした。
なぜ買ったのかわからないのだが、書評で紹介されていたからに違いない。 集合・2項関係、グラフ、2項代数と置換群、束と反転公式、環と体、 情報理論と符号理論の全6章から成る。
この6章のうち、最後の章はわかるとして、なぜ他の章が情報と関係があるのか、 ということをこの本を読むとき考えていた。 著者のまえがきを読みながらまとめたことは次の通りである。 符号理論の中で一番重要な符号である線形符号は有限体上のベクトル空間の部分空間のことなので、 有限体および有限体上のベクトル空間について理解する必要がある、という。 なるほど、したがって第5章の環と体が来るのだな。 その理解のために既約多項式の数え上げが必要で、それに使う反転公式が必要なので、 第4章の束と反転公式がある。 情報数学の重要な分野にオートマトンがあるが、その準備で、グラフと半群が必要である。 著者は本書でオートマトンの解説をする予定だったが紙幅の都合で別の機会に譲ることにしたという。 その準備として残したのが「グラフ」と「2項代数と置換群」ということになっている。 第1章は基本的事実の解説となっている。
きちんと勉強したわけではないので、クイズとして1つ紹介する。n × n のマス目を2色で塗り分ける方法は、 n = 2, 3, 4 のとき何通りあるか? ただし、 下の図のように 90°の倍数の回転によって移りあうものは同じと考える。
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答は、n = 2 のとき 6通り、n = 3 のとき 140通り、n = 4 のとき16456 通りである。 一般解は、n が偶数のとき、 `(2^(n^2) + 2^(n^2 / 4) * 2 + 2^(n^2 / 2)) / 4` 、 n が奇数のとき、 `(2^(n^2) + 2^((n^2 + 3)/ 4) * 2 + 2^((n^2 + 1) / 2)) / 4 ` である。なぜそうなるかは勉強しなければわからない。(2009-02-07)
書 名 | 情報数学入門 |
著 者 | 榎本 彦衛 |
発行日 | 年月 |
発行元 | 新曜社 |
定 価 | ????円 |
サイズ | ??? |
ISBN | |
その他 | 今は手元になし |
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