副題は「対称性をはかる数学」。
Amazon の書評を見てみると、好意的な書評と批判的な書評がある。 私は理解していないのでどちらとも言えない。
4 章「いろいろな対象の自己同型群」の p.92 から引用する。
はじめに,2 章 3 節で述べたことから,正 `n` 角形(`n ge 3`)の合同変換全体が作る二面体群 `G` は位数 `2n` の群である。 これを普通,正 `n` 角形の合同変換群というが,正 `n` 角形の自己同型群ともいう。
(中略)
15ゲームが完成するための必要十分条件は,開始時(右下空白)から終了時(右下空白)を見た
`T = {1,2,3, cdots, 15}`
上の置換が偶置換であることであった。すなわち 15 ゲームにおいては,右下空白の状態から右下空白の状態への移動可能なもの全体は `T` 上の交代群 `A_15` である。このことを, 15 ゲームの自己同型群は `A_15` であるという。
上で見たように,自己同型群という言葉は個々の数学的構造で定めるものであるが,個々の対象をそれ自身へと移す移動全体が群になるとき,それを指していうのである.
「A というが B ともいう」という主張を見たとき、なぜ A で間に合うのに B という言い方をわざわざするのだろうか、
という疑問が残る。その後読んでいくと、15 ゲームの自己同型群は `A_15` であるという
とあり、こちらは A というが、に相当するところがない。
これはどういうことなのだろう。個々の数学的構造で定めるものであるが
というのがその理由を明かすものに思えるが、まだわからない。
4 章「いろいろな対象の自己同型群」では、自己同型群の例としてパズル(ゲーム)を用いている。これは面白いと思う。昔から知られている 15 パズル(15ゲーム)のほかに、 著者が考案した 7 ゲームと新 15 ゲームがある。7 ゲームは次のとおりである。
1 | ⇔ | 2 |
3 | 4 | 5 |
6 | 7 |
2 | ⇔ | 1 |
3 | 4 | 5 |
6 | 7 |
空白(ブランク)のところに、すでにある数字を動かしていく。左側の配置が右側の配置になれば完成だ。左上と右上の間の⇔は、左上と右上が隣同士であり行き来ができることを示している。 本書の通りのレイアウトは面倒なのでやめた。左を右にする解は次のとおりである。「詳細」をクリックするたびに表示と非表示が切り替わる。
(1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 0) (1, 2, 3, 4, 5, 6, 0, 7) (1, 2, 3, 0, 5, 6, 4, 7) (1, 2, 0, 3, 5, 6, 4, 7) (0, 2, 1, 3, 5, 6, 4, 7) (2, 0, 1, 3, 5, 6, 4, 7) (2, 5, 1, 3, 0, 6, 4, 7) (2, 5, 1, 3, 7, 6, 4, 0) (2, 5, 1, 3, 7, 6, 0, 4) (2, 5, 1, 3, 7, 0, 6, 4) (2, 5, 0, 3, 7, 1, 6, 4) (0, 5, 2, 3, 7, 1, 6, 4) (5, 0, 2, 3, 7, 1, 6, 4) (5, 7, 2, 3, 0, 1, 6, 4) (5, 7, 2, 0, 3, 1, 6, 4) (5, 7, 0, 2, 3, 1, 6, 4) (0, 7, 5, 2, 3, 1, 6, 4) (7, 0, 5, 2, 3, 1, 6, 4) (7, 3, 5, 2, 0, 1, 6, 4) (7, 3, 5, 0, 2, 1, 6, 4) (7, 3, 0, 5, 2, 1, 6, 4) (7, 3, 1, 5, 2, 0, 6, 4) (7, 3, 1, 5, 2, 6, 0, 4) (7, 3, 1, 0, 2, 6, 5, 4) (7, 3, 0, 1, 2, 6, 5, 4) (0, 3, 7, 1, 2, 6, 5, 4) (3, 0, 7, 1, 2, 6, 5, 4) (3, 2, 7, 1, 0, 6, 5, 4) (3, 2, 7, 0, 1, 6, 5, 4) (3, 2, 0, 7, 1, 6, 5, 4) (0, 2, 3, 7, 1, 6, 5, 4) (2, 0, 3, 7, 1, 6, 5, 4) (2, 1, 3, 7, 0, 6, 5, 4) (2, 1, 3, 7, 4, 6, 5, 0) (2, 1, 3, 7, 4, 6, 0, 5) (2, 1, 3, 0, 4, 6, 7, 5) (2, 1, 3, 4, 0, 6, 7, 5) (2, 1, 3, 4, 5, 6, 7, 0)
p.102 に「図3 新 15 ゲームの基本形」がある。本書の p.103 では次のように書かれている。
図 3 の新 15 ゲームは 1999 年考案したもので,ネット上でも「New 15 Puzzle by Mitsuo Yoshizawa」と入力すると誰でも気軽に楽しめるようになっているが,7 ゲームと比べるとかなり難しくなる。
検索すると該当するページは表示されたのだが、小チップが動かない。実装に Java アプレットを使ったためだろう。現在 Java アプレットが使えるブラウザはない。 そこで、JavaScript を使えば実装できるのではないかと思ってやってみた。ないよりまし、という程度だ。左側の配置を右側の配置にするにはどうしたらよいかが、新 15 ゲームである。 左側の配置において、ブランクのセルの隣のセルの数字をクリックすると、数字とブランクが入れ替わる。これを繰り返す。右側の配置はクリックしても動かない。 実装は、廣瀬豪:いちばんやさしい JavaScript 入門教室を参考にした。
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書名 | 群論入門 |
著者 | 芳沢光雄 |
発行日 | 2015 年 5 月 20 日 第1刷 |
発行元 | 講談社(ブルーバックス) |
定価 | 800 円(本体) |
サイズ | 新書判 |
ISBN | 978-4-06-257917-9 |
備考 | 草加市立図書館で借りて読む |