ガロア理論とその周辺に関する練習問題集。
ガロア理論というタイトルがついているが、実質は代数学の演習書と思えばいい。 p.68 は円分多項式である。次の問題がある。
円分多項式 `Phi_1(x), Phi_2(x), Phi_3(x), Phi_4(x), Phi_5(x), Phi_6(x)` を求めよ。 `x^6 - 1, x^12 - 1, x^24 - 1` を `Phi_m(x)` の積で表せ。`Phi_12(x)` を求めよ。また `Phi_6(x) = 0, Phi_5(x) = 0` のすべての解を求めよ。
本を見ると、最後の `Phi_6(x) = 0, Phi_5(x) = 0` のすべての解を求めよ。
に関する解答が見当たらない。
仕方がない。自分で考えてみた。
まず、 `Phi_6(x) = 0` の解である。最初の設問に `Phi_6(x)` を求めよ
が含まれていて、そちらには解答 `x^2 - x + 1` が書かれている。
よって、`x^2 - x + 1 = 0 ` をとけばよい。解答を書いてみた。
`x = (1 +- sqrt(3) i) / 2`
次に `Phi_5(x) = 0` の解を考える。 これも左辺はすでに解答があるので、これをもとに考えればよい。すなわち、
`x^4 + x^3 + x^2 + x + 1 = 0`
の解を求めればよい。さて、左辺は 4 次式である。解を求めるうまい方法があるかというと、ある。 高校のときこの方程式の解法を知ってびっくりしたことを覚えている。 まず、`x != 0` であることは明らかである。よって両辺を `x^2` で割ってよい。
`x^2 + x + 1 + 1/x + 1/x^2 = 0`
`x + 1/x = t` とおくと、上の式は次のようになる。
`t^2 + t - 1 = 0`
この方程式は `t` について解くことができ、`t = (-1 +- sqrt(5)) / 2 ` となる。 一方、
`x + 1/x = t`
`x^2 - tx + 1 = 0`
`x = (t +- sqrt(t^2 - 4) ) / 2`
である。
`t = (-1 + sqrt(5)) / 2 ` のとき、`t^2 = (3 - sqrt(5) ) / 2 , t^2 - 4 = - (5 + sqrt(5))/2`
`x = 1 / 4 * ((-1 + sqrt(5)) +- i * sqrt(10 + 2sqrt(5)) )`
同様に
`t = (-1 - sqrt(5)) / 2 ` のとき、
`x = 1 / 4 * ((-1 - sqrt(5)) +- i * sqrt(10 - 2sqrt(5)) )`
全部で4種類の解が得られる。二重根号が見づらいが致し方ない。
ここまで書いてきて、同書の p.131 に、`Phi_5(x) = 0` の解があることがわかった。 もちろん、上記と同じである。俺のしたことは徒労だった。
数式は MathJax で記述している。
書 名 | 難問克服 解いてわかるガロア理論 |
著 者 | 藤田 岳彦 |
発行日 | 2013 年 6 月 10 日(第 2 刷) |
発行元 | 東京図書 |
定 価 | 2800 円(本体) |
サイズ | A5 判 243ページ |
ISBN | 978-4-489-02148-0 |
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